お手軽チョコチーズケーキ(配合)

 家にあったあり合わせの材料でチョコレートチーズケーキ。意外に美味だったので配合を書いておく。

 底に敷いたのは、イトウ製菓の「かーさんケット」というビスケット。普通に食べるよりは、こうして何か菓子を作りたくなったときの加工用に買い置きしている。

お手軽チョコチーズケーキ

 配合(だいたい18cmのタルト皿くらいを目安に)
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 【底部分】
 かーさんケット(おそらく70gくらいだったかと思うが、余っていた分量を使用したので確認せず)
 適度に砕いた状態で牛乳適量と刻んだバター40g程度を一緒に耐熱容器に入れ、弱めの電子レンジにかけてやわらかくしてから、器具などを使って潰しておく。容器に敷き詰めたら1〜2時間冷蔵庫に入れておくと作業しやすい。

 【フィリング】
 クリームチーズ 125g
 製菓用チョコレート 100g
 牛乳 215g くらい(わたしは重さで量るので、たぶん200mlくらい?)
 卵 2個
 砂糖 30g
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 手順
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 ○ チョコと牛乳を、鍋で弱めに加熱して(または電子レンジにかけて)、チョコを溶かしておく
 ○ そのあと、温度が自然に下がるのを待つか、ボウルごと冷水に浸けるなどして下げておく

 ○ クリームチーズをなめらかにしておく。砂糖も入れてさらに混ぜる
 ○ 卵を2回に分けて混ぜる。

 ○ チョコと牛乳の温度が下がったものを、チーズたちに混ぜる
 ○ よく混ぜたら、冷蔵庫から出した皿に注ぎ込み、170℃で45分くらい焼く。
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 これはフィリング部分に小麦粉や粉類がはいっていないので、ムースのような、プリンのような食感になる。焼いて粗熱がとれたくらいではやわらかい状態なので、いったん冷蔵庫にしまってから食べた方が、食べやすいかもしれない。

お手軽チョコチーズケーキ

参考リンク:
かーさんケット(画像は楽天から)

Plan-B(プランビー)は大事: パン酵母の話

 この何週間か、そしてとくに11月中旬くらいには、パンが焼けなくなっていた。酵母の調子が悪かったのだ。夏まではあれほど調子が出ていて、田舎の親にもパンを頻繁に送りつけていたほどだったのに、同じ手順を踏んでいるつもりでも酵母に元気が出ない。無理に焼いても案の定まずい。

 仕方ないので作りかけていた酵母は処分し、新しく作り直すことにしたのだが、そこでもうまくいかなかったらわたしの気分はもう浮上しないことだろうと、予備手段として数年ぶり(おそらく10年ぶりくらい)に、市販酵母を買ってみることにした。使う使わないはともかく、焼けないほどに不調になったときにはこういうものがあるというのが、心の支えになる。

 購入したのは富澤商店に在庫があった、こちらのパネトーネマザーと、とかち野酵母。
市販酵母(パネトーネマザー、とかち野酵母)

 パネトーネマザーは、記憶にあるかぎり10年くらい前までときどき使っていた。自家製酵母の調子がいまひとつのときに、パネトーネマザーでも中種を作って自家製酵母と混ぜて使ったこともある。匂いがよいので信頼していた。
 とかち野酵母も、以前に使った。こちらは匂いがあるが、発酵が簡単だったような記憶がある。割高でも分包タイプにした。袋タイプでは1回使えば残りが劣化してしまう。

 そのほか、家にたまたまヨーグルトが多めに買い置きしてあったため、一部に少し牛乳を足して発酵させ、かさ増しをしてからヨーグルト酵母に使ってみた。こちらは1回目はいまひとつの仕上がりだったが、もう少し寝かせてから再挑戦したところ、膨らみが改善された。
 さらには台所の隅から「使用期限が5年も過ぎたヨーグルトの種菌粉末(未開封)」が出てきて、そちらでも牛乳と混ぜて実験をしたところ、分包でまったく空気に触れていなかったせいか、菌が生きていた。こちらもパン酵母として育ててみるつもりだ。

 さらに、別酵母。
 初夏から夏にかけてたくさん作ったレモンシロップの残り(液体をとってしまった残りのレモン本体)を冷蔵庫にたくさん保管してある。それをほかのものと一緒に水に入れて酵母を取ってみることが多かったが、それがこのところうまくいかずに、挫折していた。
 そこで今回は「本来なら用済みのレモン本体なのだから、料金が高くなってきたレーズンを混ぜたらもったいなさすぎる。それなら、普通は食べない林檎の皮をたっぷり入れて酵母を実験してみたい」ということになり、安いリンゴを探していたところ…

 クックパッドマート(スマホで注文して、専用ロッカーの設置してある最寄り店まで取りに行くスタイルの通販)に、「目安として5個前後、訳ありリンゴ」と書かれていたものがあり、格安だったので注文してみることに。すると受け取り先のロッカーにあったのが、こちら。

格安のおまかせリンゴ、1袋分。

 右端のミネラルウォーターは、300mlくらいの小さめボトルである。隣に見える小さめかぼちゃサイズのリンゴは、750gあった。3個分である。これひとつの皮を、使用済みレモンと水を入れていた瓶に追加。水も追加した。発酵しれくれるとよいのだが。

 この750gのリンゴは、ざく切りにしてレーズン、砂糖、蜂蜜で加熱し、最後にラム酒をかけて寝かせて、ヨーグルトを食べるときの具材にした。

 それにしても、ミニサイズも含めてあと4個のリンゴが残っている。なんとかしなければならない。

 市販酵母を買ったことで「もし酵母がうまくいかなくても次の手(プランビー)がある」という気持ちになり、物事が少し明るく考えられるようになった。願わくばこのまま市販酵母を使わずに自家製酵母だけで突っ走りたいところだが、無理に期待をかけて自分を追いつめることは、やめておこう。気楽に、気楽に。

高さのある食パンというのは、難しい

 高円寺の駅に食パンのお店「みるく」が来ていたので、ひとつ購入してみた。いちばん安いものでも756円だったが、パンはけっこう好きだし、食パンは作るのが難しいので、見かけたら買ってしまうことが多い。

 今年の春に楽天で「お店で買うみたいな食パンが焼ける型」を買った。そのときは特価だったが半月後に値上がりしたので、買っておいてよかったとは思ったが——とにかく難しくて。パンといえば食事パンばかりを作っているわたしが、7回挑戦してついに一度も納得がいく食パンができず、現在この型はお蔵入り。

(浅井商店さんのオリジナル商品、画像は楽天から)

 店で売られている食パンに、みなさんぜひ感動してもらいたい。あれはぜったい、たいへんなのだ。

 わたしの場合は国産小麦(縦方向に釜伸びさせるのはけっこうたいへん)、自家製酵母、手ごねとニーダーの併用(ブラウンのハンディミキサーにニーダーのフックを付けて使う)、という具合なので、ネット上にあまり参考になるデータがなかったことも事実だが、曲がりなりにもパンを焼きつづけて10年以上、名ばかりとはいえ製菓衛生師の資格保持者、そのわたしが「7回やってだめだった」というのは、もうかなりのショックである。

 いつか、ふたたび挑戦してみたい気もするが、失敗したときに気が滅入るので、やはり食パンは買ってしまうのがよいかもしれない。
(普段は高さのさほどない食パンを焼いている)

何度も作っている菓子で失敗

 バターカステラで失敗した。

 パンならいまでもときおり「こりゃちょっと不味いぞ」というのが出来るのだが、慣れているはずの菓子、しかも基本の基本である「卵の泡立て」で失敗するというのは、予想もしていなかったし、原因もよくわからない。わからないことだらけだが、自信は確実になくした。

 これが、うまく行っているときのバターカステラ。

バターカステラ(焼いた直後)

バターカステラ(冷蔵庫で寝かせてから撮影)

 うまくいかなかったほうの撮影は、もちろんしていない。

 顛末を書いておくと——

 ○ 卵の質は申し分なし。信頼しているお店の卵。
 ○ 泡立てる前に、いつも通りに湯煎して、ある程度は温めた。温度が低かったか?
 ○ 泡立てている最中に、最近は使わなくなっていた古いほうのハンドミキサーだったためか、音が気になった。「今日は、なんだかうるさいなー、早く終わらせたいな」と気が散ったのは事実だが、それほど手を抜いたようにも感じていない。そこそこ、いつもと同じくらいには、泡立てたと思っている。
 ○ 卵の泡立て前に、蜂蜜、バター、ヨーグルトを混ぜて温めておいたが——蜂蜜が容器の最後のほうで固まっていて、足りるかな〜とひやひやした。
 だが、ぎりぎり量は足りたので、残りを引き続き容器ごと湯煎して、次回にそなえた。もしや、最後の固まっていた部分も使ったため、入れすぎたのだろうか。いや、それにしても数グラムくらいの誤差だと思われる。
 ○ 粉を合わせ入れ、バターと蜂蜜などを溶かしておいたものも、いつも通りの手順で入れた。そのときは、それほど卵が緩いとは思えなかった。

 ぜんぶが合わせ終わり、焼き型に上から流し入れた途端…「あ、これぜったいうまくいかない」と直感。急に液の表面にたくさん大きめの気泡が浮いてきて、まるで雰囲気が「こってりしたプリン液」のようなのだ。

 仕方ないので焼いたが、やはり、上半分が「きめの粗いスポンジ」で、下半分が「焼きの足らないパウンドケーキ」みたいになってしまった。ガラス容器なので、焼けたあとでふたたび電子レンジで加熱して生焼けっぽさを改善。そのあとで粗熱が取れてから食べてみたが、味はともかくとして舌触りが悪い。

 何が悪かったのか、よくわからない。
 雑念があったことや、時間に押されながらの作業だったので、認識していない間違いがあったのかもしれない。なにせ先日は、家族も使う普通の用途の塩を、パンをこねたあと小麦粉収納の段ボールに入れて、半日も経ってから「あっ、なぜこんなところに塩が」と首をかしげたのだ。そんなところに入れた記憶もないし、半日も行方不明だったことに気づいていなかった。頭がお疲れのようである。

 次回、期間をあけてから、またバターカステラをやってみようと思う。

進歩しているのだろうか

 平均すれば週に2回か3回はパンを焼く。プレーンな食パンぽいもの、それに具を入れたもの(レーズンなど)、バゲットっぽいもの、クロワッサンぽいものを交替で焼くことが多い。

 この何年も、焼いたら写真を撮るようにしているが、はたしてうまくなっているのかどうかがわからない。気づけば8年前に最近のよく焼けたときと同じような写真を撮影していたり、最近ではあまり焼いていないパンを焼いていたことがわかったり。「やはり最近は、うまくなっている」という実感があまりない。

 ただ食感に関しては、今年にはいってから少し水分を多めにしているので、やわらかく「もちっ」としたものが焼けることが増えている。これはこれで、おいしいと思う。

 田舎の母は、わたしが幼少のころすでに手打ちうどんを作っていた。動作が不思議で「なんでそんな風にカクカクと(機械的に)手が動くの」と何度も聞いたが、やっているうちに自然とそうなると言われたのみ。「どこで習ったの」とか「いつからできるの」と尋ねても「最初はおいしくなかったんじゃないかな」、「作っていくうちにおいしくなってきたんだと思う」という返事。

 わたしが幼少時から中学くらいまでの母の年齢を思えば、いまのわたしより若かったはず。それでもわたしには「おいしかった」し、「最初はおいしくなかったってどんなだったんだろう」と思ったが、わたしはこの年になっても、いまだにうまくなったという実感がない。

 今日も「今回は渾身の出来だ」と思ったクロワッサンが、普通だった。味や食感はいいのだが、焼いたあとで「見た感じが普通だな、すごくないな」ということで、気分が下降する。それでもたぶん、わたしはこれからも焼くのだろう。

 誰かよその人に食べさせるわけでもないし、家族はうまいと言ってくれるのだが、わたしが相手もない「ひとりインスタ映え」を狙いつづけているというのが現状だ。

牛乳そのものから、パン酵母は起こせない(原則)

 都内のあるお店に、ミルク酵母を自慢にしたパンが売られている。ある特定の酪農会社で売られている低温殺菌牛乳を使っているそうだ。そのお店のことはずっと以前から耳にしていて(お読みのみなさんも「ミルク酵母」という検索単語だけで、その店に楽々たどり着ける)わたしはいったい何のことだろうと、首をかしげていた。

 このお店やミルク酵母については、パン好きな方々や食関連のサイトで紹介されているが、どなたもその辺りは突っこまない。可能性としては牛乳に粉を混ぜて発酵させている(つまり発酵の大元は粉のほうで、無菌で販売されている牛乳は風味付けなどの補助である)ということだろうと思うが、それははたしてミルク酵母という呼び方で適切なのだろうか。

 ネットでも、ミルク酵母という存在に影響されてか「牛乳酵母の作り方は」という質問が上がっていることがあるが、おそらく語感の問題から、牛乳そのものをどうにかして発酵させ、粉と混ぜて元種にすると思っている人たちが多いのではと思う。

 あらためて、最初にその店について読んだ本の書名を思い出してページをめくってみたところ、勘が当たっていた。乳脂肪を抜いたあとの液体と、粉を合わせて酵母を育てていくのだという。

 古い本で、アマゾンでかなり高額で取引されているようなので、楽天の古本をリンクしておく。

 乳脂肪の抜き方についてはさすがにそこまで書いていなかったが、ヨーグルトと混ぜて牛乳を発酵させてから漉せば、液は「乳清」になるだろうし、どれくらい技が必要かわからないが牛乳を固体と液体に分離させることもできるかもしれない(その場合の呼び名は「バターミルク」になるのだろうか)——だが乳脂肪が高い生クリームならばミキサーでそれが可能でも、普通の牛乳でもできるのだろうか。

 ともあれ、市販されている牛乳そのものを発酵させてから粉に合わせるというのは不可能なので(加熱殺菌してからパック詰めして流通させているため菌は死滅)、ミルク酵母という言葉そのものが、誤解を招きやすいのではないかという話にとどめておくとしよう。

 最初に書いた、牛乳に粉を入れて発酵させる可能性だが、これは乳清またはバターミルク状態にしてから粉を合わせるよりも腐敗リスクが高いように思う。温度帯が合わない。牛乳は10℃以下保存くらいが妥当だろうが、粉が水分と合わせられてブクブク発酵する可能性を考えたとき、常温(25℃くらいまで)が、無難ではないかと思える。粉の発酵の可能性より先に牛乳が傷みそうだ。かといってすべてを冷蔵庫でおこなったら、仮に牛乳が傷まなくても、発酵が起こるのか起こらないのか未知数である。
 最初の数時間のみ、30℃程度にぬるくした牛乳と粉を合わせて、そのあとで冷蔵庫に入れてからときおりかき混ぜ、粉を足していくということなら、可能性はないでもないが、そこまでして牛乳で酵母をとるのは、冒険である。

 さて今日、実は梅酒に漬けておいたしわしわの梅が酵母になりそうなことがわかって、驚いている。アルコールの中に4ヶ月以上もあったわけだが、容器に水を入れて梅を落としてみると、1〜2日で水を吸って普通の梅のようになってきたため、さらに水を足して様子を見ていたところ、その数日後に小さな泡が出てきた。あと1日くらい様子を見て、少しだけ粉に合わせてみて、使えそうならパンを焼いてみたいと思う。

自家製パン酵母の話

 このブログ(現在のmikimarulog.me)を開始したころ、ネット上に毎日たくさんのことを書き散らかしていた。元気がありあまっていた。
 そうこうするうちにブログを複数にわけなければならなくなった。食べ物、書評、健康問題、介護問題、その他あれこれである。
 分割しなければ、ひとつのブログに1日複数回、同じ場所にあれもこれも書かねばならなかった。書く文体も読む客層も違うのだから書く場所がひとつというのはさすがに無理があるだろうとの思いから、一部を外部に出した。

 だが2021年となり、毎日書いているのはこのブログだけになった。外部に出したブログたちは月に1〜2回書けばいいほうだ。それならば、せめてパン酵母の話題くらいはこちらのmikimarulogにもどしてもいいのかなと、今日はこちらに書いてみる。

 さて、自家製酵母の話をする前に、まずは「イースト」について。イーストというのは酵母の英語だ。つまり同じものである。イーストというと市販の粉末パン酵母(いわゆる「ドライイースト」)を意味して、自家製酵母というと無添加の手作り感あるもの……というのは、正しくない。だがそれがけっこう、広まってしまっている。

自家製酵母(フルーツ)
自家製酵母の準備。清潔な容器に、必要に応じて切れ目をたくさん入れた果物などを入れて水を注ぎ、数日以上待つ。

 わたしが自宅で作るパン酵母にわざわざ「自家製」と付けるのは、通例として「天然酵母という表現はなんとなくホシノ酵母を想起させる」ため、混乱をを防ぐ意味合いだ。自然酵母という呼び方をする人もいるが、天然も自然も区別していない人もいらっしゃる。わたしは「自家製」で通している。

 市販の粉末酵母(いわゆる「ドライイースト」)は添加物がはいっているとか、体によくないという考えをお持ちの方も、なかにはいらっしゃるようだ。だが実際には、誤解がある。
 添加物というものは、食品用に認められたものを定められた用法で使うことで目的を果たす(パンが焼ける)よう、設計されているものである。また、添加物という言葉自体への抵抗感もあるかと思うが、「食品に使ってよいと定められた、食品そのものではない何か」は、添加物と呼ぶしかない(そう扱うことが法的に定められている)ものなのだ。語感の問題や印象よりも、もう一歩先のところにまで目を向けていただければ、誤解が軽減されるのではないだろうか。

 パン作りそのものに慣れないうちから不確かな知識で自家製酵母に挑戦し、かえって衛生的な懸念が生じるかもしれないならば、まずは市販の粉末酵母でパン焼きに慣れ、楽しんでいただいたほうがよいかと思う。

 さて、いちおうmikimaruのパン歴を書いておくが、2003年ころにパン焼き器を買った。そのころはドライイーストだった。
 翌年くらいに製菓製パンの通信教育(日本菓子専門学校)を2年の予定で受講開始。そのころも、興味はあったものの自家製酵母には手を出しておらず、市販酵母の各種を試す程度だったのではないだろうか。
 2007年、製菓衛生師の資格を取得。
 自家製酵母だけでパンを焼くようになってからはまだ10年くらいで、それまでの数年間は市販酵母と自家製酵母を交互または混ぜたりしてパンを焼いていたと思う。

 前置きが長くなったが、自家製酵母mikimaru風。

■ 酵母液がとれるまで

○ 清潔な容器を用意。もしリンゴならば切れ目をたくさん入れ、それ以外の果物でも大きいものは切れ目を入れて、きれいな水と一緒に入れる。アルカリイオン水を使うと発酵しないので、水道水か、市販の水で。

(別に密封容器である必要はないが、1日1回~2回は横から揺するように軽く振るとよいので、内容物よりも大きめの容器がよい。わたしは「セラーメイト チャーミークリア」を使うことが多い。)
 下記のチャーミークリアの画像は楽天から。

○ 2〜3日すると水面に泡が出てきて、プチプチと大きな音も出る。(気温が低い時期は日数が長くかかる)
 軽く横に揺すったときに泡が増え、中味の果物がすべて浮いてきていたら、かなり発酵している。

○ さらに1〜2日すると、音が小さくなってきて、軽く揺すっても泡はとくに大きくならず、瓶の下に沈殿物が増えている。これで完成。
○ 別の瓶に、布を当てた漏斗などを使って、液を移す。これが酵母液である。元の瓶にあった沈殿物 (澱/おり) は入れない。

(上級者向け: このとき、まだその果物が硬さを残していて、発酵しそうな余地がある場合は、別の瓶にレーズンときれいな水を入れてこの果物をもどし、さらに追加発酵することもできる)

■ 液ができたら

○ パン種を作る。
 上記の酵母液に水を足し、少し小麦粉を入れる。
 目安として酵母150ccくらいに水を入れ、小麦粉を少し入れてはかき混ぜる。数時間~半日に1回くらいずつまた足して、どろどろに発酵してくるまで、1~3日くらい待つ。

 酵母液に水を足す割合は、酵母に使ったものがレモンなどの場合は多め(酵母液40:水60くらい)、レーズンやリンゴなどの場合は、酵母液60:水40くらい。レモンや柑橘がはいっている場合は、薄めるほうがいい。理由はよくわからないが、濃いとパン種がなかなかできない。

○ 気温が低かったり、作ってから日数が経ってからの酵母液の場合は、3日くらいかかることもあるが、気温が高かったり、作った直後の液であれば、1日でどろどろに発酵する。やはり新鮮なうちが無難で、手軽で、何より美味しい。

 この「どろどろに発酵」の目安は、起泡がはいって、量が増えて見えること。また、発酵が進んできた場合は、かき混ぜる器具にその種があまりくっつかない。スプーン等ですくって持ち上げ、下に落とすと、器具にあまりべたべた残らないのが、発酵している目安。
 見た目としては、市販品名で恐縮だが「フルーチェ」が膨らんだような「ぷるっ」とした状態。

自家製酵母(パン種)

 それから、途中で匂いが「美味しくなさそう」なもの、「つんとくる」ものに変化しそうな兆しが見えたら、小麦粉だけでなく少量の水または酵母液を入れて、混ぜる。最終的には「やや甘い」ような香りが、よい状態。

○ こうしてできたパン種のうち、150g~200gくらいを1回分として、パンに使う。
例: パン種150g / 小麦粉 200g / 塩 4g / 砂糖 10g / スキムミルク 10g / 水(一部を牛乳にしても可) 110g / 食塩不使用バター 10g

 ちなみにこれは国産強力粉を目安にした水分なので、外国産小麦の場合は水を15g~20gくらい足すとよいかと思う。

 液種を小麦に合わせて作ったパン種は、1〜2日くらいで使いきったほうが新鮮かつ無難。
 酵母液は、10日以内くらいで使うのが無難、もとい、3日以内くらいが無難。遅くなればその分だけパン種の発酵に時間がかかるようになるし、味がかなり落ちる。フルーツから少量の酵母液をいつでも採れるにしておけるのが理想ではあるが、それができるならば、こまめに作るのが美味。
 このあたりの判断は人それぞれだろうが、これもパン作りの難しさであり楽しさだ。

参考リンク:
目黒区で、自宅でパン屋さん「ワルン・ロティ」を運営されている大和田聡子(おおわだとしこ)さんの本。
2004年のこの本で、mikimaruは一気に自家製酵母に開眼。

パン酵母の処分を、原発の政策に例えた話

 何年つづけていたかわからないほどのパン酵母(小麦由来)を捨てたのが、8月上旬。捨てる決意をしたのが8月5日だったが、その数日後にようやく「えいっ」と捨てた。

 もちろん、理由は、ある。

 パン酵母というのは、つづけていくと「わーい何年ものだ〜」という自己満足にはなっても、質が落ちたときに苦行となって、自分の身に返ってくる。つまり、元気がなくなってまずくなったとき、酵母の元気をとりもどすために連続して何回も「まずいパン」を食べなければいけなくなるのだ。短期間に何回か焼いているうちに酵母が元気になればそれでいいが、なかなか不調から抜け出せなければ「なんでパン酵母をつなぐためにまずいものを食べるのか」という話になる。

 その際、ごく一部を手元に残して酵母の大半を捨ててしまえるのであれば、苦行は必要ない。少量の(まずくなりかけた)パン酵母を何回か使ってよみがえらせれば、早く幸せな日々が来るのだ。だが「まずくなったくらいで、小麦粉を捨てるなんて」という、昭和後半生まれのモッタイナイ根性が顔を出し、まずい酵母をできるだけ捨てずにそのまま全体を生き返らせようとして、これまで数年のあいだ、何かの拍子にまずいパンを焼いてきた。

 何年も同じ酵母をつないでいく(小麦と水と塩)というのは、わたしが勝手に「すごい」と思いたいためだけの自己満足だ。だが実際には季節の果物のあまりや、余ったドライフルーツを使って容器に水と一緒に入れておけば、数日後にはよい酵母がとれて、かなり勢いがあり美味なパンが頻繁に焼ける。そのほうがぜったいにお得であり、ストレスも溜まらず、しかも楽しい。
 酵母を液としてしぼっておいて、パンを焼きたくなったっら、こねる前の日に、その液と、水と小麦と微量の塩を、何回かにわけてきれいな容器で混ぜていく。そしてこの季節なら1日くらいで発酵種が膨らむので、その日(または翌日に)それを使ってパンをこね、半日以上寝かせてから焼く。

 これまで何度か「小麦酵母、捨てて新しくやり直したい」と思ったことがある。あるいは「小麦酵母をやめてしまい、たまにドライフルーツなどで酵母を起こしたい」とも。
 だが「何年もつないできたのに、この瓶の中の酵母は水と塩と小麦粉でできているのに。自分のミスでまずくなったものを捨ててしまうなんて、そんなことしていいと思っているのか」と。。。別に誰が叱りつけるわけでもないのに、自分にまずいパンを食べるという苦行を課してきた。わたしはまだいいが、家族などはよく付き合ってきてくれたものだ。

 やり直したいと考えるたび「原発じゃあるまいし、捨てねば」と自分に言いきかせた。だが踏ん切りがつかなかった。
 事故があったら危険だし、再処理なんかできやしないし、常識的に考えればさったとやめりゃいいのにと思える原発を、おそらくは「これまで長い期間の投資をしたから」、「自分がやめた人間と言われたくないから」などのくだらない理由により、動こうとしない政府。それをばかだと思いながらも、それでも自分は、容器に入れていたパン酵母が、捨てられなかった。
 踏ん切りがつかない自分に「これじゃ政府と同じアホではないか。やりなおそう」と言いきかせ…何年ものかわからないが、冷蔵庫に寝かせていた小麦酵母のボトルを捨てた。

 これからも、自分を説得するときに「政府と同じでいいのか」という文句は使えそうである。

 そしてこのところ、快適にパンが焼けている。

 

瓢箪から駒で、自作パン祭り継続中

 6月の頭に梅を1キロ買って、一部はシロップにすべく砂糖漬け、一部はブランデー、残りはラム酒につけることにした。

 家にあった適当な容器を使ったからか、あるいはその容器がいつもパン酵母を作るのに使っていたものだったからか、シロップを作ろうとして梅と砂糖を入れていたボトルが、数日後に砂糖が溶けたころになって(←そのころは連日とても暑くて、たった数日でみるみる梅が浮いてきたのだ)観察してみたところ、液に、かすかに泡。

 ——げっ、この梅シロップ、これから発酵する。やばい。

 そう思ったわたしは、すぐ実を別の容器に移動させ、シロップ部分を加熱してから冷まし、別容器に入れて冷蔵庫へ。そちらはすでにかなり梅の味がついているので、牛乳に溶かしてヨーグルトドリンクのようにして楽しんでいるが、実のほうは捨てるわけにもいかないので、容器にそのまま水を入れて、発酵を継続させた。

 そういうわけで数日後には元気のよい梅酵母がとれたのだが、それでも梅はまだしわしわもしていないので、同じ梅を別容器に移動してリンゴのざく切りを入れ、また発酵させた。こちらはもう発酵液ができあがっているのだが、その前に作ったリンゴの発酵液と、次の梅発酵液があるので、まだ具を入れたまま寝かせている。そろそろしぼって液だけにしたいのだが、1日おきにパンを焼く程度では、なかなか追いつかない。

 だがあまり長く実をとりださずに容器に入れておくと、発酵液がかえって弱まったり、運が悪ければ腐敗してしまうので、そろそろしぼって冷蔵庫へ移動だ。

 発酵液も冷蔵庫とはいえあまり何週間もおいておけないので、これからもしばらく、自宅でパン祭りである。ちなみに今日はクロワッサン。昨日はチョコチップパンだった。

自家製、春のパン祭り

 先月だが、ポンカンを8個もらって、ひとつだけ傷みかけていたので、その半分をお茶の葉と一緒に水につけてパン酵母にしてみた。

 毎日こまめに様子を確認し、「いまだ」と思った二日間にわたり、大量のパンを焼いた。二日で使い切った。パンは大部分を冷凍した。だが勢いのある瞬間を見逃さずに焼いたものなので、解凍しても抜群に美味。

 普段は小麦酵母とコーヒー酵母を作っているが、これらは長くつないでいるから安定の発酵力とはいっても、やはり旬の酵母にはかなわない。

 今回は数日前から「ぶどうとお茶の葉」を容器に入れている。おそらくあと二日くらいで、かなりの勢いがついた酵母液が採れるはずだ。そのときはまたパンを一度にたくさん焼いて冷凍したい。

 なぜ毎回「お茶の葉」かというと、余っているのである。大量だ。高齢者がいる家(住んでいないが住民票はここにある)には敬老の品といって日本茶がやってきたり、わが家が趣味にしている新春の食品福袋では、一部の店で日本茶を入れてくる。普段はごくたまにしか飲まないので、余る。紅茶ならば夏にアイスティーをするが、冷蔵して飲むのはどちらかといえば麦茶で、やはりここでも出番は少ない。

 もうひとつの理由は、果物などを水につけたとき、小さな泡がはじまって、全体が発酵してくるまでのあだ、お茶の葉のように小さくて軽いものは、先に浮いてくるので発酵確認の目安になる。茶が浮いてくるころ、数時間から半日くらい遅れて果物も浮いてくるので、予定が立てやすい。

 さて、数日後にはパン祭りである。前回の写真も公開していないが、いつかどこかにまとめてパン祭り写真でも載せてみたい。