フィクションにおける「血縁」や「遺伝」

 カナダのドラマらしいが「ゴーストウォーズ」というシリーズがNetflixにあって、1話だけ見てみた。田舎町で嫌われていた青年ローマンが(←その嫌われ方が半端ではない)、うんざりして町を出ようとするところから話がはじまる。ところがそのとき乗っていたバスが事故に遭い、彼のみが脱出に成功。

 地元の人間たちがたくさん死んだのに生き残ったのがローマンのみと知った周囲の反応は異常で、いくら嫌われているとはいえ幼いころからその地に住む(いわばネイティブの)彼を、白昼にリンチにせんばかりの行動を取る者も出た。

 だが少数ながらも理解してくれる人間は存在し、そのうちのひとりが保安官だった。ローマンに指一本でも触れたら全員を逮捕すると言明し、とりあえずリンチをしようとした主犯のみ拘留して、残る仲間らにはにらみを利かせる。

 そのころ、町は原因不明の事故での死亡、あるいは幻覚を見て自らを傷つける集団ヒステリーが次々に発生。
 最初のうちは、町を飛び出して行方知れずのローマンの母(その嫌われ方もまた異常)と、その息子ローマンが災厄の現況であるかのように不満を爆発させていた町の人間たちは、何かおかしなことが起こっていると、自覚しはじめる。そしてあれほど嫌い抜いていたローマンに、素直に「いままでごめん」と言う者すら現れた(←いや、あれだけ嫌っておいてこれはちょっとないんじゃないか)。

 で、話は番組のタイトルからわかるように、幽霊うんぬんが出てくるわけだが、ここで改めて思う。

 母親の嫌われ方も「見える人だった」ことに由来し、ローマンもそうであるということらしい。そしてローマンは町の人々が次々に死んでいくことに耐えきれず、ついにぶち切れて、霊に向かって啖呵を切ったりする。するとなぜか霊もひるんで去っていく。そういう能力があるという設定なんだ、ふむふむと、だんだんわかってくる。

 こういう「見える人」系の話は、たいていどの国/文化圏でも「親がそうだった」とか、「一族みんなそういう人たちだった」という流れで描かれていく。話がどうであれ、その点に、わたしはまたか〜と思うわけである。21世紀の現在、「血縁や遺伝以外に何か考えろよ」と言いたくなるのだ。

 幽霊系ではなく超能力系でれば、若者が集団で何かに遭遇したとか、不思議なものを浴びてしまったなどの作品もあったと思うが、こと「幽霊系」に関しては、遺伝以外の要因で見える人になったという作品に、出会った記憶がほとんどない。

 そういう作品に出会ったら、この記事に追記予定。