猫の夢を見た

 たまには可愛いものも夢に出てくる。もっとも、その猫が出てくるシーン以外はよく覚えていないが、全体としては暗い夢だったかもしれない。

 昼間に2階のベランダを開けると、目の前(つまり上空ということになるが)に誰かがいた。1階の草むらを見るようにと、ニコニコしながら合図している。そこで下を見ると、小さいのに茶色くてふさふさした猫が、わたしがいる2階のベランダまでジャンプしようとして、助走のようにお尻をふるふるさせているところだった。

 その茶色い(ポケモン風に表現するならイーヴィ風)猫は、往年のドラマ「バイオニック・ジェミー」でもあるまいし、お尻をふるふるさせただけで、1回のジャンプで飛んできた。なんという跳躍力。わたしはキャッチして、両前足の付け根部分(つまり両肩)をうしろからかかえ、家の中にいる家族に「猫が来た」と伝えた。
 家族も猫が好きなので、にっこり笑っている。

 どうも猫の世界でも不景気らしく、ツンデレしている場合ではなくて、人間に愛想よくして餌をもらうほうが得策ということになったらしい。何やらひっきりなしに愛想よくしてきたので、なでたり、何か食べ物を出した。
 こちらは借家なので完璧に飼うことができないのだが「夜だけ外でおしっこしたり、軒下で寝てくれるなら、昼間はベランダでご飯をあげるし、ちょっとなら中で休んでもいいけれど、それでいいか」と尋ねると、背に腹は代えられない様子で、猫は真顔で了解した。

 猫の世界もたいへんなんだなと、そんな風に思った夢だった。