美しいか、自然かではなく、あくまで「読みやすい」という意味で書くなら、日本人の書く英語は読みやすいことが多い。たとえ文法が少し変でも何が言いたかったのかが行間まで透けて見えることがあるのも、真剣な文書でなければだが、ほのぼのしてしまう。
今日、何ヶ月も前からAmazonでリストに入れていたkindle本が、なぜか485円の表示になっていたので、すぐさまクリック。たしかリストに入れたときは、もっと高かったと思う。少なくとも、ぜったいに千円以下ではなかった(ちなみに活字版で買うと4000円以上するらしい)。
日本語にすっかり組み込まれている、性別に関する表現などをひとつひとつ掘り下げて考えていく本かと思ったら、意外に冒頭で少しそれら——例: 未亡人、男時女時(おどきめどき)、男手女手、女の腐ったような——が出てきたあとは、日本の歴史と女性についておさらいしつつ、宗教観や文学などをからめながら時代をくだっていく構成。まだ読みはじめて間もなく、頭の部分から抜け出していないが、日本以外でも多くの文化圏で見られる「血を穢れと考える」発想、それゆえ女性を低く見る傾向が出てくる件も無駄なくつづられ、かゆいところに手が届く。こういったジェンダーの分野に興味のある人ならば、かなりすらすら読めるのではないかと思われる。
著者が英語ネイティブの日系人なのか日本語ネイティブなのかを存じ上げずに読みはじめたが、冒頭で、日本で育ちいったんは職を得たのちにアメリカに渡ったと書かれていた。現在はアメリカの大学で教えていらっしゃるらしい。
内容が自分の関心分野だからなのか、あるいはどこかで「日本語ネイティブならこう書くであろう黄金律」のような英語パターンがあるのか、読んでいてとてもわかりやすい。速度もかなり上がって、これならさほど寝かしておかずとも、読み終えるような気がしている。