何週間か前に、どこかの有料チャンネルで比較的新しい作品「特捜部Q キジ殺し」の後半を見てしまった。なかなかおもしろそうなシリーズなので第一作を見たいと思ったのだが、そのときは第一作が自分の加入しているサービス(NetflixやHulu)に見当たらなかったので、別料金を払ってどこかで見るのもどうかと思い、しばし忘れていた。
昨日になってNetflixに「特捜部Q 檻の中の女」を見つけ、ながら作業をしながら気軽に見はじめたのだが、すぐに引きこまれて最後までしっかりと見た。
殺人課にいた主人公カール。捜査の判断ミスで同僚に大怪我をさせてしまい、自分もまた被弾して復職したばかりの状態だ。事件の精神的なショックもあり、過去事件の書類整理の部署を割り当てられ、そこでおとなしくしているつもりでいたものの、なぜかそこにやる気のある部下が配属になり、事態は変化した。その部下アサドの整理した資料を見るうちに、5年前の未解決事件に大きく首をつっこむことになっていく。
やる気はあったがまさか捜査までさせてもらえるとはと、戸惑いながらも活躍する部下アサド。カールは実は上司から事件を蒸し返すなと何度も釘を刺されているが、アサドには告げずに捜査を続行していた。いよいよ謹慎を言い渡されても警察バッジを返上覚悟で行動を起こす。やがて、ふたりがたどりついた事件の真相は…。
犯人の動機が解明される終盤の回想シーン(雪の中)が、素晴らしく美しい。
90年代のアメリカのドラマX-Filesのように「日陰の部署なのに本気を出している人々」というわかりやすい設定、けっして聖人君子でも精神的な強靱さを誇る人間でもないがひたすら行動する主人公、日々を遡って犯人の痕跡を追う丹念なストーリー展開と暴かれた真実に見える北欧ドラマらしい香り、そして映像美。これはよい作品だ。
後半をすでに見てしまっているが、シリーズ2作目の「キジ殺し」と、そしていつかNetflixに降りてくるであろう3作目も、楽しみに待つとしよう。
原作は人気作家ユッシ・エーズラ・オールスンで、このシリーズだけで6作くらいが出版されているらしい。映像化は同じ主演コンビによるものが3作品ほど出ている。
主人公のカールを演じているのは、デンマークの犯罪ドラマ「キリング」最終シーズンに登場したニコライ・リー・カース。間違いなく彼の代表作になっていくことだろう。