ときおり、飲食業で空席があっても厨房や接客の人間が忙しいのか、6割くらいしか客を入れていないのではと思うような店がある。おそらく人手が足らないのかなと、想像する。
そういえば深夜の牛丼店でも、その晩の担当店員がひとりですべてをまかされることが多く、かなりブラックな労働環境になっているとの話もあった。一時期は人手不足で店の営業を制限したチェーン店もあったと記憶している。
だが、人手が足らないのはそうしたサービス業や製造業が顕著だろうと想像するも、機械化されやすい現場は事務系(金額計算や書類の自動化)が先なのではないかと思うことも。
10年以上通っている病院でつい最近電子化が進んだ。各種の窓口にいて、声で患者に説明していた人間がぐっと減った。医療事務系や、書類や会計を担当していた人たちが目に見える場所から減り、新システムに慣れるまで人が戸惑わないように声をかける係が少し増えたが、それもいつまでのことか。利用者のほうが慣れてくれば、案内も少なくて済むようになる。
人間が何度も電卓を叩いて検算していた時代は遠い昔だ。支払いも「計算は以上ですので、そちらの機械にお進みください」となっていた。
こうなると今後の事務系の職場では、定期の新卒採用で数を減らし欠員ができたときに補充を考えるか、あるいは機械化をさらにすすめるかもしれない。機械は人間と違って疲れたとは言わず、間違いも少ない。初期投資さえできるのであれば、仕事に慣れてくるまでの準備期間が不要な分だけ、人間より長期的なコストがかからない。
だがサービス業、製造業は、人間の手が必要となる部分がそうした事務系よりも多いと思われ、機械化は遅れるのではないだろうか。
労働の制約時間が長い、もしくは体がきついので短時間ずつのシフトにしてほしいが、相手(雇う側)は少なめの人間に長めの時間で作業をしてもらったほうが得と考えているので、いったんその職場にはいったら休みも取れない、じゃあやらない…という考えに流れていく人も、いるだろう。
労働力のバランスを考え、現代社会における個々人の働き方を抜本的に見直さないと、とてもアンバランスな状態がつづいて誰も得をしない世の中になってしまう。