早朝の住宅街、小雨の路上で、ものの見事にすっころんだ。奇跡的に怪我はなく(手の指に少し出血)、左側を中心に服の一部を濡らしたのみで済んだ。
いつもの道を歩こうとしたら、路上で立ち話をしている人がいたため、やや細めの住宅街を歩いたのが発端。車がやってきたためどこかの家の軒先ぎりぎりによけて車をやりすごし、さてふたたび歩こうと思ったところで、その家の段差解消の金属(あれは正式名を何というのだろう?)とスニーカーの裏とが相性が悪かったらしく、あれよとうまに左側を下にして、ひっくり返ったというわけだ。
車が通過している最中でなくよかったし、その家の前に犬の落とし物でもあったら予定をぜんぶキャンセルして家に飛んで帰り、着替えをしなければならないところだった。だが、幸いなことに「普通の雨水」だったようで匂いも汚れもなく、手もティッシュで軽く拭いて様子を見ながら歩き続けた。
午前のメインの用事は、いつもの通院だった。
待ち合いは雨のせいか空いているのに、わたしの担当医から呼んでもらえない。今年にはいってから全予約制となったため、このところ予定から大幅に遅れることのほうが珍しい状態になってきた。今日も15分程度は気にならなかったのだが、だんだんと「わたしは手違いでずっと呼ばれないのではないか」と、軽いパニックのような状況になり、呼吸まで荒くなりそうに。朝のことで気持ちが落ち着かないのか、自分でもおかしいと思ったのだが、気持ちがどんどんと乱れてきた。「待て待て、周囲の人も動きが少ない、つまり呼ばれていないんだ、わたしだけではない」とか、「呼ばれなかったら言えばいいだけなのだから、もう少し待ってみよう」と、自分を抑えながら待っていた。
10時までに呼ばれると思っていたところが、40分を過ぎてようやく呼ばれた。だが診察室で開口一番に「今日は混んでいてすみませんね」と医師に言われるやいなや、まるで何事もなかったかのように笑みを浮かべながら「いいえ、そんな…」と言えたのは、自分でも驚いた。前世はカメレオンか。
転んで痛かったこと、外出先のコンビニで薄タオルをまとめ買いして待ち合い室の椅子に敷いてから座ったこと、帰ってくるなり服をすべて洗濯したこと。ほかにも、慣れている病院なのにスタッフの勘違いで違う案内を受けそうになったことなど、いろいろ気持ちが乱れそうになったが、ものは考えようだ。
轢かれなくてよかった。犬のふんまみれにならなくてよかった。コンビニが開いていたからタオルが買えてよかった。義母がステイ中だからいったん帰宅して洗濯し、また出かけることもできた。湿布を貼った程度で様子見できてよかった。
…なんだ、いい日だったじゃないか…。