今日の午後。混雑する店内で、できるだけさくさくとパンを選びつつレジに向かっていると、横方向からやってきた店員に呼び止められた。服装からしてパンを焼く担当で、レジの人ではなさそうであったため、何だろうと驚いたのだが、その「お客様」と呼びかける声は、たしかにわたしに向いていた。
どうも、わたしの手にしたトレイにあるチーズのなんとかパンで、焼き上がったばかりのものがあるらしかった。それを店内に並べようとして店内の混雑具合などをチェックしていたところ、買おうとしたわたしが目の前を通りかかったらしい。そういう際の約束事なのか、「お取り替えしますか」と聞かれたというわけだ。
正直、食べるまでに数時間以上あるので、焼きたてを買う必要はなかったのだが、こういうときの約束として「はい」と答えるものなのだろうなと、2秒くらい間をあけてから交換をお願いした。すぐ近くに立っていた見た目が高校生くらいの若い女性に「くすっ」と笑われたのだが、2秒くらいの迷いを笑うほどいまどきの高校生が速度を誇っているようには思えないので、おそらく何があってもくすくす笑う年頃なのだろうと、考えることにした。
まさか、取り替えた分というのは、廃棄になったりしないよなと、あとになって思った。店員さんたちが夜食にでも食べてくれるのだろうと思いたい。