最近ちょっとしたきっかけにより、頭の中に欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)の歌声と、テレサ・テンの歌う夜来香(イエライシャン)が交互に流れてくる。いったんはじまると止まらないが、比率はイエライシャン7割くらいであり、テレサ・テン恐るべし。
さて、名前なのだが…
ジュディ・オングは幼いころに日本にやってきて、ご両親や家庭教師のもとで中国語(北京語ほか)、英語を学んだそうだ。ご出身は台湾らしい。
テレサ・テンも台湾の出身で、アジア全体で名を知られている。英語では日本語同じテレサ・テンだが、中国語圏では別の呼び方と漢字があるとのこと。
ところが、ここで欧陽菲菲さんである。
この方のお名前はなぜカタカナでなく漢字のままなのかという疑問が——。上記おふたりと同様に、台湾のご出身である。珍しい苗字であると思われ(中国語圏は苗字が1文字の人が圧倒的に多い)、お名前の読み方もまた日本語とは違うため、漢字のお名前では、売れっ子になるまでの期間は日本人がきちんと読めずにいた可能性もある。
それでも日本での活動開始時にカタカナ名ではなく漢字で強く打ち出したのは、漢字圏同士で親しみがわくということもあるかもしれないが、もしや漢字表現のほうが文字数からして簡潔で、人名として認識されやすいという判断もあったのだろうかと、考えてしまった。
いや、その考えで行くと、香港の俳優ジャッキー・チェンを現地風に「成龍」さんとしたほうがコンパクトにはなるのだが、そうはならなかった。ジャッキーという名が日本人に親しみやすいという判断だったのかもしれない。
これが歌手ではなく作家など活字の分野の著名人であれば、漢字をそのままで読みを日本風に紹介することが、かつては慣例だった——現在はわからないが、わたしが思うに2000年より前くらいの段階では日本風に読む例が多かったように思う。だが彼女は「オーヤン・フィーフィーでーす♪」と元気よくテレビに出ていた。やはり名前は最初が肝心だ。自信たっぷりに名乗って明るく船出をすれば、相手が読み方を覚えてくれる。
さて、それにしても…イエライシャンが、今日もがんがん頭の中で止まらない。ほかの音楽をたくさん聴いて、印象を薄めなくては。