今日、ある都内のクリニックにて。
いつもと違う医師に当たった。着任されてまもないようだが、丁寧で人当たりのよい応対だった。高齢者の付き添いで出かけたのでわたしが診察を受けたわけではないのだが、少し検査をしたあとで「もう少ししたらレントゲンにお呼びします」と声をかけてきたのち、15分くらい、ただ待たされた。
呼ばれて診察室にはいると「先ほどの検査でインフルエンザではないこともわかりましたし、診察の範囲では肺炎などの深刻な疑いはほぼないので…」とのこと。ではレントゲンは撮らないことになったのだなと、挨拶してその場を去ろうとすると、あまりにも正直にこう言った——「レントゲンの使い方がいまひとつわからなくて」。
それを聞いて、心の中で思わず微笑んだ。
そこはかつて専門技師がいたのだが、クリニックの改装や機材の入れ替えをおこない、その後は医師や有資格者らしき人がレントゲンを撮っている。今日の医師は着任まもないため使い方に自信がなかったのだろう。
突然に決まった付き添いだったため、まったく存じ上げない医師に当たったが、今後は「ああ、あのときの正直な人」と、安心して診てもらうことができそうだ。素直がいちばん、正直がいちばん。