ネット上などで「アメリカの誰それ氏の話によれば〜」などの記事がよく流れてくるのだが、ざっと読むと、耳掃除は原則としてしなくていいという内容である。勝手に出てくるから…というものらしい。ただ必ず文章の最初か最後に、小さい子供や高齢者は、定期的に医者に診てもらうのもよい、とある。
わたしは実際に身近な人間で、小学校時代に医者に診てもらったら耳の中から植物の種が出てきたという事例も知っているし、さらにこの数年で言うならば、認知症高齢者の義母は素人には手に負えないほどの耳垢を詰まらせており、数年のあいだ年に2回を目安として耳鼻科に通院させていた。
少しの注意でわざわざ通院させなくて済むことは多いため、ネットではぜひ「するな」という記事ばかりではなく、安全な耳の手入れなどについても、載せてほしいものだ。それにアメリカの誰それさんよりも、日本人の耳垢に詳しそうな医師のコメントがほしい。
義母だが、最近では通院させるのがたいへんになったことと諸事情が重なったため、わたしは今年になってからAmazonで医療器具としても使われるピンセットほかを購入した。そして夜間の散歩や自転車などにも使われる小さなフラッシュライトを帽子の先につけて、月に1回ほど義母の耳から大きな耳垢のみ「つまみ出して」いる。小さいものまで完璧にやろうと思えば耳を傷つけてしまう危険性があるため、細かな掃除はしない。そしてとり残しておいた耳垢が翌月に育ってピンセットでつまめそうになったころ、ベリッと(文字通り「ベリッと」音がするほど)引きずり出している。
耳の手入れは、本来ならしなくていい人が多いために「するな」と強調する記事が目立つのだろうが、するかしないかを自分で選べない人のことを、忘れてはいけない。やはり何らかの手入れや、気にかけておく姿勢は、大切だ。