本を読んで泣いたことがある

 先ほど以前に録画しておいた映画を見た。ポール・ゴーギャンを題材にヴァンサン・カッセル主演で制作された「ゴーギャン タヒチ、楽園への旅」というタイトルのものだ → シネフィルによる紹介サイト
 いや〜、ヴァンサン・カッセル…。かつてはギラギラとした役柄の多い個性的な若手俳優だった彼が、ここまで老けオヤジのメイクはすごい。おっと、見た目の話で失礼。

 フランスの暮らしに疲れてタヒチに出かけ、現地で出会った娘と恋に落ちて一緒に暮らし、病を得てもその日々を守ろうとしたが、やがてふたりの間には齟齬が…といった話である。作品の出来としては、まあまあ楽しめた。

 さて、これを見ながらずっと「大昔に”月と六ペンス”を読んで泣いた記憶がある」と考えていた。だが記憶をたぐっても「月と六ペンスってなんだっけ」レベルで、まったく覚えていない。だがこの映画を見ながら思い出したのだからゴーギャンをモデルにした話だったのだろうと検索したら、はたしてその通りであった。設定がフランス人のところがイギリス人であったり、舞台の島が変わっていたり、などである。

 大昔の小説なので英語の原文がプロジェクト・グーテンベルクとしてインターネット上で公開されている。

 昔は、本で泣いたことがあると思い出した。月と六ペンスは東京に出てきてから読んだが、中学か高校のころに読んで呼吸ができないほど泣いたのがドストエフスキーの「虐げられた人々」だ。日本語版Wikipediaにあらすじが(あらすじとも思えないほど細かく)載っていたので、いましみじみ読んできたが、だいぶ細部を忘れていた。だが作品のどこで泣いたかは、なんとなく覚えている。

 よく考えると、「虐げられた人々」にはまったわたしは、ドストエフスキーやらトルストイやら、いまから思うと寒そうで暗そうな話を片っ端から読んでいた時期がある。おそらく、泣くほどすごかった体験というのが当時はそれほど多くなくて、また同じようなものに出会いたかったのだろう。

 本をじっくりと、泣くほどまでには読まなくなってきている現在。そして情けないことに「泣いた本ならこれとこれ」と、そくざに何冊も言えたはずなのに、いまでは名前を挙げることが難しくなってきた記憶力の衰退。嘆かわしいことである。

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