Facebookを見る楽しみの大部分が、日本をはじめ諸外国の新聞社サイトだ。外国のものは、英語で書かれていて更新頻度が高く、そこそこ上品な内容ならば(いわゆるスポーツ紙のような記事ばかりでなければ)よくチェックしている。
ニューヨークタイムズに関しては料金を払っている話を以前書いた。自宅では東京新聞を購読しているが、ネット上での東京新聞もまた、閲覧者に本数制限を設けるのではなくて速報などの記事はそのまま(広告付きで)読ませ、特集記事などは紙面または有料版アプリで読ませているところにも好感を持っている。
朝日、毎日、日経のように購読者以外には閲覧本数制限をして、記事の見出しと頭の部分のみ読ませる方法は、けっこうストレスに感じるが、それでもしも購読者が増えているというのなら、ビジネスモデルとして仕方ないことなのだろう。ストレスに感じるだけで読まなくなる人とどちらが多いのかは、わからない。毎日新聞などは人生相談のコーナーすら回答を有料会員に限定しているので、わたしはけっこう腹が立っている。それほどのことをするならば、そっくり載せなければいいのにとも、思う。
さて、今日の話は、もう少し先のことだ。
朝日と毎日の「ここからは有料会員で」と書いてある記事だが、実はそのうちの何割かは、翌日くらいに英語で全文を配信している。無料である。これはどういうことだろうか。もしや英語で書いてあれば日本人はまず読まない、日本人には日本語版を有料で読んでもらうが英語で外国人に有料配信するほどには、まだ自分たちの知名度が高くない——そういう考えだろうか。
手間がかかっているのは英語版のほうである。英訳と校正の手間だ。最初から英語圏向けに英語ネイティブが書いた記事ではなく日本人の記者が日本語で書いた物を英訳している。それで全文を掲載して、無料である。これはどこで料金を回収するつもりなのか。英語版ではまだ料金をとる実力はないが、その分を日本語版の読者が負担するという構図に思える。
ちなみに「ここから先は日本語で読めないのか」と残念に思った翌日に、英語版を読み「この内容と分量で日本語版ではカネをとるんだな」と、苦笑することも。
こんなことを書いたからといって朝日と毎日がすぐにでも英語版で本数制限や料金の回収を考えたら面倒なことになるが、やはり疑問に思わざるを得ない。
各新聞社のオンライン版が、もう少し値段設定を見直してくれたら、情報をタダでとは思わないわたしは、料金を払うべきとの気持ちはある。だが何割かの記事で英語版を無料で提供している現状を考えると、そして無料では読めない日本語記事の後半部分を英語で読んでみると、やはり全体的には、料金に納得がいかない気がしている。
新聞業界が赤字であることは想像できるが、紙媒体とは違う電子版ならではのメリットをどうにかして活かし、価格の合理化を進めてもらえるとありがたい。