AmazonではKindle本の読み放題に関して、2か月で199円というキャンペーン中だそうで、わたしも申しこんでみた。4月中旬まで読み放題のサービスを体験中である。
ダウンロードして、思っていた本と違う気がするとわかったら利用停止を押し、新たな本をダウンロードする仕組みだ。1回に10冊までダウンロードすることができるが、読まないと思われる本をいつまでもハードディスクに入れておくわけにもいかないので、次々に入れては利用終了を押している。
幼いころ、父がときどき街の書店まで連れていってくれて、1冊だけ何か買ってよいと言ってくれたのを覚えている。おそらく年に1〜2回くらいのことだったように思うが、わたしはその日がとても好きだった。そして時間をかけて選び、買ってもらうと、家に帰ってきてページを開いた。わくわくした。
だが父はかならず「1日ですべてを読んではいけない」と言った。もったいないからだ。楽しい時間を1日で終わりにするなということだったのだろう。ほんとうは1冊の大部分を読んでしまっていても、わたしはとっさに「まだ半分しか読んでいない」と答えるようにしていた。ご機嫌を損ねればもう本屋に連れていってもらえないという危機感があったのかもしれない。
だがわたしは1冊の本を何度でも、穴の開くほど読む子供だったので、父の心配は杞憂だったように思う。
あのころは、本の世界に自分がはいれた。すっぽりとはいれた。
自分で本を買うようになってからも、しばらくはそれがつづいた。
だがいまは、世の中のせわしなさなのか、自分が変わってしまったのか「こういうことが書かれている本を読みたい」という気持ちが強すぎる。そういう本であるのかないのかを事前に確認したいと思うばかりで、純粋に「本が読みたい、世界にはいりたい」という思いからはかけ離れてきている。
さらに、自由になる金額が子供時代から考えて桁違いであるからか、これはいま買わないと入手困難になるかもしれないと思えば「とりあえず買っておく」ことができてしまうのも、本への思いをもしかしたら曇らせているのかもしれない。
Kindle Unlimitedでは、とりあえずきちんと読んだものが1冊(これは大昔の漫画だ)、読みかけの参考書的なものが3冊ある。4月中旬まではこんな調子で使ってみようと思うが、そのあとは…さすがに月額980円というのは、ちょっと気軽に出せる金額でないことだけは言える。ぎりぎりまで考えてみる予定だ。