いままで何十年もとぼけまくってきたカトリック教会だが、ようやくヴァチカンを揺るがす大スキャンダルに発展してきた。遅すぎたくらいだがこれも進歩である。
さて、映画を思い出した。当時は若すぎたのか、テレビ放映時に着目すべき点を勘違いして見ていた可能性もある。
1985年のアメリカ映画(舞台はカナダ)の Agnes of God (邦題: アグネス)である。
これほど古い映画についてネタバレがどうのというとがめを受けるとは考えづらいが、いちおう断っておくと、ネタバレである。そして1回しか見ていないので記憶違いがある可能性をあらかじめお含みおきいただきたい。
性について無垢すぎる若い修道女が血まみれになっているシーンからはじまる。わけもわからないまま出産をし、その遺体を部屋に放置していたというものだ。本人の説明にはわからない点が多すぎて、精神的な問題(責任能力の有無)を調べるために女性の医師が派遣された。
なんとか心を開かせて正直な話を聞こうとするが、修道女は具体的なことは何も語らない。ただ、何度も面談するうち、彼女が庭の隅から秘密の通路で外に出ていたらしいということはわかってくる。相手の男性は誰か。それを医師は尋ねる。
だが神の世界しか知らずに育てられた修道女は、その通路を抜けて出た先にいたのは神だったと、恍惚として医師に語り、そこで映画は終わる。
当時のわたしは「性について無垢すぎて、外部の世界で男に襲われたことが理解できずにいたのだろうか」と思って終わったのだが、いま思えば、女性のみの修道院であっても何らかの機会に男性聖職者との接点はあるかもしれず、まして彼女は外に出ることができたのだから、言葉巧みに聖職者に騙されて…と考えてもよかったのだ。その点が頭から抜けていた。
主演のアグネスは当時若手女優のメグ・ティリー。医師はジェーン・フォンダだ。そしてアグネスの育ての親である修道女は、アン・バンクロフト。また見てみたい気がするが、地味なものだったので、見る機会があるかどうか。
さて、カトリック教会。これ以上すっとぼけるのはみっともないのだから、人数が減ってどうしようというところまで、該当者をがんがん摘発していただきたい。みょうな「名前だけ聖職者」が多いより、すっきりしてよくなることだろう。