夢の暗示するもの

 このところ家の中で片付けもの作業が多く、少し疲れているのか、今朝はストーリー性のある夢を見たので、自分で少し解説を試みる。

(以下、夢である)

 福岡から大阪に行くバスに乗ったわたしを、家族が見送る。そのバスは、実は普通の路線バスとは異なり、ある団体の信者のような人たちが乗客の大半を占めていて、もしわたしが途中で強い意志を持って「嫌だ」と言わないかぎり、微生物のはいった目薬を差されて仲間にされてしまうことになっている。わたしは気が重いが、どうしたらいいのかわからずにいる。
 実は見送ってくれた家族は、その団体が関係している大学で(なにやらすごい講座があったらしくそれを学びたいあまりに)目薬を差してしまい、いまはときどき目が青い蛍光塗料のように光る人になってしまっている。ただわたしのことは自分で決めてほしいと思っているようで、バスを見送りながらも、無理強いはしなかった。そしてなぜかバスが発車する直前に、路上に前のめりに倒れて頭を打ったように見えたが、バスはそれにかまわず出発してしまい、わたしは家族がどうなったのかもわからないまま大阪に向かう。

 もう少しで大阪に到着というとき、車内がだんだんと雰囲気を変え、運転席近くには受付のような長テーブルが出て、信者がひとりひとり会費支払と目薬の申し込みをはじめた。暴力を振るわれているわけではないので、わたしはまだ嫌と言える立場だったが、もうすぐ順番がまわってきてしまう。そこで福岡にいるはずの家族に携帯で電話をする。
 頭を打ったことよりも、おそらくは目薬の影響だと思うが、ぼんやりとした受け答えをする家族に、最後だからとわたしは尋ねる——「わたしの順番がまわってくる。目薬をすべきか、断るべきか」と。
 そのときわたしの頭にあったのは、ほんとうは嫌だけれど、自分だけそれを拒否したら自分はひとりになる。それが幸せなのか、どうなのか。そのことだった。いつもならばわたしにわたしなりの道を行けと言うはずの人間は、もう目薬の影響でそれまでの考え方をしない人になっている。だから嫌だと言うかどうかを、決めるのはわたししかいない。

 どうしたら、いいのか。
 そして家族が、一瞬だけ電話口の向こうで正気に返ったようだった。ちょっと待ってとか、あのね、などを言いかけた。わたしは何かを期待した、だが通話は切れてしまった。

——そこで、夢から覚めた。

(以下、自分なりに感じたこと)

 おそらく「微生物のはいった目薬」は、現在の世の中への不満と不安だろうと思う。
 たとえばだが、いくらまじめに考えようとしても、福島の農産物やら食品添加物やら「数字が大丈夫であったとしても、誰かが嘘をついていたり、データをごまかしていたら意味がない」という疑念が出てくる。そして実際に、データを改竄したり都合のよい方向に誘導している事例が(労働問題、就労問題などの政府のデータも含めて)あとをたたない。何を信じたらいいのかわからないことが実際に増えてきているのだ。だが安易に陰謀論には流されたくない。ではどうする——そんなことを日々あれこれ考えている。
 この夢の中の、微生物のはいった目薬というのは「何かの色に染まってしまって、あとは自分で考えなくてもいい、全体でなんとかなっていくのだ」という諦めを含んだ暗示だ。わたしはそれを最後まで拒否したいと思いつつ、自分ひとりになるのが悲しい。それでずっと迷っている。

 目薬を差すとときどき目が青く蛍光塗料のように光るのは、1995年のアメリカ映画「光る眼」(原題: Village of the Damned)の記憶だろう。インターネットムービーデータベースから、予告動画を張っておく。

 街の人びとが一斉に6時間記憶を失い、女性らはなぜか妊娠していた。生まれた子供たちは眼が白く光るという話だ。
 最近の映画ではX-Menシリーズでストームの眼が白く光っていた。

 自分が自分の信じる道を進んでいいと、相手が正気ならば言ってくれるはずとわかっているのに、それでも相手に最後に聞こうとする自分が、なにやら悪い意味で日本人らしいような気がしてしまった。あの夢のような立場になったら、自分はどうするのだろう。

 正解がわかっていても決められない、決めたくないと考えた自分を、情けないと思うよりも、そんな悲しい選択をする事態にそもそも陥らないように、予防線を張っておかないといけないと感じた。

 そして、わたしはまた多くの不安を事前にシミュレーションして、不快な夢や悲しい夢を見ることだろう。だが実際にそれらが起こるよりも、夢でよかったと思える自分でありたい。

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