東京新聞の記事( 2019.06.10 → メタボ健診、低調なら交付金減 政府、国保で自治体対象に )を見ていて思ったのだが——
自営業や無職の人らが加入する国民健康保険(国保)を巡り、政府は10日、特定健康診査(メタボ健診)の実施率が低いなど、病気予防や健康づくりを促す取り組みが遅れている自治体を対象に、交付金を減らす方針を固めた。
交付金を減らされないために、自治体は「メタボ健診を受けませんか」といった働きかけをすることになる。何をするかと言えば、人を雇って(おそらくはどこかの企業または団体と契約して)電話をかけまくったり意識向上の書類を送ったりするのだろう。実際にわたしも身近な人たちから「区に委託されたらしい団体から健康診断のことで電話があった」と耳にしたことがある。
カネで動かされてカネを使うという構図かと思う。なにやらむなしいが、悲しいかなオカミがまわす世の中の事例には、こんなカネの流れが多いようだ。
だがここで肝心なのは、自治体が目標とすべきなのは、国に言われたとおりに市民のメタボ健診を増やすことではないはずだということ。最終的に、医療費のコストをおさえつつ、人びとに健康を維持してもらうことこそを狙いとすべきだろう。
メタボ健診といっても国がデータを吸い上げてどこかの団体を経由し、ビッグデータとして何かに使うつもりがあってのことだ。そのデータを誰がどう使っていくかは、細部まで予定されているわけではないのだろう。もちろんその過程で医療関係とデータ処理の仕事は生まれるわけだが、低コストで市民に健康を維持してもらうという目標からは、直線距離で考えるとかなり遠い。
なにやら無駄の多い世の中に思える。だが紆余曲折は最後には直線なのだろうか。なんとか、もう少しだけでも、すっきりスリムにできないものか。