もともと観光というよりは通勤の足として発達していた東武「りょうもう号」だが、今日は往復で始発から終点まで(浅草と赤城間を)乗ってみた。
数十年前には「急行りょうもう号」という名前で停車駅は数カ所のみだったが、このところ、たくさん停まっても名前は「特急りょうもう号」である。そして名前が豪華そうになっても車両内の席配置はせまいままなので、今日のように席をターンさせてボックスタイプにしたとき、空間の狭さはひときわ目立ってしまう。
まあ、車両や乗り心地などについては、また今後も書く機会があるだろうから、今日は「ぐんま昆虫の森」の話を。
赤城駅に到着してすぐ、近くにいた駅係員さんに「タクシーはどこで乗れますか」と尋ねてみた。指さされた方角に「ちょうどあの車が待機しているようですね」と教えてもらえたので、近づいてみると、やはり電車到着に合わせてタクシー乗り場に近づこうとしていたようで、すぐに車がやってきた。
地元の人である運転手さんによると、昆虫の森は土地を買い取って整備するまでのあいだ、イノシシやシカが出るような場所だったそうだ。いまは土地を囲いこんで里山にしているため数は減ったが、まったくいないというわけでもないとのこと。県立なので入場料などの料金は安いが「夏はそこそこ人が来て賑わうけれど、冬にはお客が減っても昆虫の管理にはなおさら金と手間がかかるのだから、赤字ですよ」という話だった。
もっと近所に、一緒に回れるような目玉施設を作っておけば、どちらかだけではもったいないからと両方に訪れる客もいるだろうに、もったいないと言う運転手さんに「天気が悪いし、スケジュールがきついので今回は諦めるが、帰りに藪塚のスネークセンターに行きたかった」と話しかけると、なぜそんなものまで知っているのかと、驚かれた。いや、知ってるって——知ってるよ、スネークセンターだ。わたしにとっては1回しか出かけたことがない「心の遊園地」なのだから。
入館時にはまだ雨が上がりきっていなかったので屋内中心で楽しむしかないかと思っていたのだが、広い敷地を歩いているあいだに薄日も差してきて、地元らしき親子連れがたくさん増えてきた。今回は知人の息子さんが虫に関心があるということで、息子さんがどこで立ち止まって観察や虫取りをはじめるか(←虫取りといっても、見つけて可愛がったらその場でリリース)その方角と速度に合わせて、敷地の半分強くらいを歩いたのではないかと思う。
昆虫がらみの展示やイベントばかりではなく、大きな資料室や、30分おきくらいにやっているらしい昆虫関係の動画上映、そして日によっておこなわれるイベントや講義がある。ただ、その日に思いついて参加できるようなものは少なく、事前に予約または抽選をするものが多そうだった。虫好きのお子さんがいらっしゃるご家庭では、計画的に日程を組む、あるいは抽選を申しこんでおくとよいかもしれない。
施設内では、内部に食堂はなく、飲み物自販機がところどころに配置されている。屋内スペースで持参の弁当を食べてよいのは、別館の土産物ショップ併設の小さめ休憩コーナーのみ。それ以外は、屋外のベンチか東屋のようなものを利用して食べるということだろう。その土産物ショップでは、何か麺類のような汁もの(そば、うどん)や、フライドポテトなど、何らかの軽食があるようだ。
わたしたちは今回、公式サイトに書かれていた通り、自分たちで食べるものを持ちこんだ。
帰りは東武線の時間を調べて、それに間に合いそうなタイミングでタクシーをお願いした。同じ運転手さんがやってきた。次はすぐに帰らずに、ぜひ「わたらせ渓谷鉄道」もおすすめですという話だった。
東武線に乗っていた時間だけでも約4時間。歩きまわって、それ以外の用事もこなし、最後には地下鉄乗り継ぎで帰宅した。寝つきの悪い日々がつづいているが、今夜はさすがに寝られるかもしれない。