耳なし芳一になった夕暮れ

 夕方にならないと近所を歩けない。暑すぎる。この数日は夕方の5時に出かけるようにしているが、それでも帽子が欠かせないほどだ。暑い。暑すぎる。

 そして夕方といえば、蚊の活動時間でもある。今日はポケモンgoのついでに公園に寄ろうかと思っていたので、両腕と足首に、フマキラーの虫よけを塗って出かけた。こんな感じの商品だが、手のひらにスプレーして体に薄く塗るだけで、けっこう効く。

(画像は楽天から)

 これで準備完了。暑いのですぐ帰宅するつもりで、最短距離で公園まで。池も木陰も、蚊よけで安心である。よかったよかった、さあ、帰りはどの方向から帰宅しようか…

 と、思ったまではよいのだが、公園を出て市街地を歩いていると、足首に違和感が。わたしは靴下ぎりぎりまで蚊よけを塗ったはずだが、どうやら靴下に潜りこんだ蚊がいたのか、小さな膨らみを発見。こんなぎりぎりの位置まで狙ってやってくるとは、あなどれない。

 すぐさま「こんな塗り残しの小さな場所を狙うとは……」と、耳なし芳一の名前を出そうとした。たしか芳一は、魔除けのお経を耳だけ書いてもらえなかったため亡霊に耳をもぎ取られたのだ。だがわたしよりも早く、横にいた連れがひと言「アキレス腱だな」と。なるほど、そう来たか。
 洋の東西は違えど、たしかアキレスもまた、塗り残しの話だった。幼少時、不死身になれる川の水に浸かったとき、母親がかかとを押さえていたためそこだけ水がかからなかった(不死身になれなかった)という話だったと思う。

 明日からは、まんべんなく塗って出かけることにしよう。耳なし芳一さん、ごきげんよう。

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