「上を向いて歩こう」が聞こえてきた

 実はAvicii(アヴィーチー)のファンである。普段ほとんど音楽を聴かないため、情けないことだが去年になって初めて、彼の死亡のニュースで存在を知った。すぐさま検索し、Wake Me Upの動画を見かけて引きつけられた。直後からアルバムをiTunesで何枚かダウンロードして、くり返し聞いている。

 この6月に出たらしい最後のアルバムTIMに最近まで気づかなかった。数日前に室内バイクを漕ぎながら、iTunesで曲をチェックしていて見つけた。聞きながらぼんやりと考え事をしつつ、バイクを漕いだ。そして何曲目だっただろうか——曲の途中から、懐かしい旋律が。わけがわからず、心が強く揺さぶられた。
 坂本九の「上を向いて歩こう」だった。英語圏ではSukiyakiというタイトルで知られていたという。あまりにも予想外で、突然すぎて、バイクを漕ぐのをやめて曲名を確認した。間違いなくAviciiのアルバムだ。その間奏部分は完全に彼のの曲の一部となり、自然に溶けこんでいた。

 AviciiことTimが、2011年の東日本大震災であの歌に救われた日本の人びとのことを、知っていたのかどうかはわからない。だがわたしの心はあの心細かった日々、何らかの光が見えればついていきたいと願っていた人びとの前に灯台のように現れたサントリーのCMの日々へと、まっすぐに向かった。

 いまの世の中、気の滅入ることが多い。だが「上を向いて歩こう」と、これからも思いたい。
 あの曲を、とりあげてくれてありがとう。天国のAviciiに、それが言いたい。

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