ときおり、通販や実際の店での買い物(食品)で、原材料ラベルを見て「これってどこの会社だろ」と考えることがある。とくに製造を兼ねていない代理販売の場合だ。製造業の名前も場所もなく、販売業者として耳に馴染みのない株式会社名が表示されているのだ。さらにはネット上にその会社情報がいっさいないこともあり、「そもそもほんとうに株式会社だろうか」とまで、疑問をいだくこともある。
株式会社ではないのに株式会社を名乗るのはさすがに何らかの罪に問われそうであるから、一般の流通に乗せる段階で株式会社の手続きをしていることは間違いないのだろう。その前提で以下を書く。
食品ラベルに株式会社と書いてあると、利用者の中には個人営業の店よりそちらを信用しがちな人もいるかもしれない。ただ、株式会社を名乗るための手続きには数万円だそうだ。さらに、登録免許と定款の認証で約20万円がかかる。もし住所など最低限の情報をインターネット等に公開するのであれば、インターネットのドメイン料金と、格安のレンタルサーバ代金で年間数千円。それらをすべて自分で手続きできないならば代行やコンサルティング料金がかかる場合もあるが、それとてたいした額ではない。どれだけ考えても初年度は20万円台だ。
これだけの金額と手間で、株式会社を名乗れるのである。
そして銀行に会社名で口座を持つことができれば業者間での金銭やりとりもスムーズになり、信用度は上がるだろう。これらの手順を踏めば、仮にもしその株式会社の内部が個人事業に近いものであっても、内部の情報をさほど出さずに株式会社となれる。
会社の情報や連絡先などをできるだけ出さずに食品の販売をしたい、個々の問い合わせなどが怖い(もしくは手がまわらない)という意図なのかもしれないが、やはり食品を扱う会社に関しては、連絡先や窓口がしっかり機能していてもらいたいと、わたしは考える。それは株式会社だろうと個人商店だろうと関係がない。何かあったらすぐ声をかけられる存在かどうかの安心感だ。