「爪に火をともす」と、「砥石を削る」の関係

 今日「爪に火をともす」がとっさに出てこず、「爪の垢に火をともす」やら(←不衛生である ^^;)、「爪の先に何するんだっけ」やら、さまざまなことを口走ってからiPhoneで検索した。「爪に火をともす」が正解だった。

 お金がなくて、倹約するときの表現だと思っていたが、意外に日本語の辞書では、その意味よりも「ケチ」のほうが主流のようだ。ちょっと意外だった。

 ところで、検索したうちのひとつ「故事ことわざ辞典」さんによると( → 爪に火を点す)、その英語版は “He will shave a whetstone.(彼は砥石を剃る)”だという。

 いや、聞いたことがない。まったく聞いたことがないだけでなく、これでは意味が通らない。砥石をたまに削るのは当たり前だし(砥石同士またはさらに固いもののに当てて表面を削る)、それは倹約や吝嗇とは関係がないように思うのだが…?
 もしや砥石の意味や役割が、英語圏と日本語では違うのだろうか。

 英語でこれを検索してみたらどうなるのかと、”shave a whetstone” で検索したところ、意外な展開に。2006年の英語フォーラム(英語を習っている人たちが英語ネイティブらと一緒に英語を考える掲示板)で、ある投稿者が「shave a whetstoneとは何でしょう」と尋ねている。それに対してネイティブのみなさんが「聞いたことねー」、「なんだろねー」、「あ、Googleで見たら日本語の慣用句の英訳って書いてあるみたいよ」(←つまり「故事ことわざ辞典」さんと出どころが同じであろう情報が、英語のフォーラムにも循環している)、「日本人の使う英語なのかなー」(←それ違う ^^;)。。。

 さらに驚くべきことに、英語でどれほど検索をかけても、この件はこのフォーラム以外まったく検索されなかった。

 いったい、日本語のほうの情報として出まわっているこの英文は、どこからやってきたのか、これではまったくわからない。仕方ないので一般的な表現としてではなく、”He will shave a whetstone.” を完全に入力して検索したところ、やはり日本語の検索結果が多かったものの、こんなものが出てきた。

 1594?-1666年ころの人物 Howell, Jamesさんという人が書いた、ことわざをひたすら集めた本 PROVERBS, OR OLD SAYED-SAVVES, AND ADAGES IN THE ENGLISH TOUNG に、記載があったのだ。

 そんな昔にすでにあったとなると、ますます語源も意味もわからない。少なくとも日本語の「爪に火をともす」と関連付けることが、できそうな気がしない。これ以上は、お手上げになるのだろうか。もう少し検索すれば、何か出てくるのだろうか。

 ただ収穫といえば、この前後が、おもしろい。いかにも「集めてみました」的な、日本でいえば調べ物に図書館のつもりで入室したら、実際の中身がヴィレッジバンガードかドンキだったかのような、雑然とした並び方である。砥石の3行上には「マナーが人を作るんだ」と、映画キングスマンで紹介された文章が、William of Wykehamウィカムのウィリアムの言葉として紹介されている。

 さて、この件はおもしろそうなので、またいつかつづきを調べてみよう。

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