駅で考えると南千住が近いのだが、台東区にカフェ・バッハという珈琲店がある。珈琲好きな人にとっては、よく焙煎の本などで名前が出てくるため(老舗の珈琲店で焙煎の御三家など、○○の○○家といった表現)、行ったことがなくても知っているような気持ちになれる店かもしれない。
いわゆる労働者街である「山谷(さんや)」に、68年から営業している店だと、頭ではわかっていた。だから勝手に「珈琲がたくさんあって、あとは軽食があるんだろう」と想像していた。同じく有名店である銀座「カフェ・ド・ランブル」には珈琲だけで、食べられるものはコーヒーゼリーくらいしかないとも聞いているし、この店も珈琲がメインだろう、と。
ところが、この本を見て、かなりびっくりした。
菓子のレベルが普通ではない。いわゆる「喫茶店」で出す菓子で、このレベルを予想している人はいないと思われる。シンプルなバターケーキやクッキー、こんもりと高さのあるアップルパイだけでなく、オーボンヴュータンの河田氏の本にあったような格調高い焼き菓子まで。
店頭でこの本にある菓子の何割を出しているのかはわからないが、これなら珈琲を飲むついでに菓子を買いに行ってもいいような気がした。
実際に店に行く機会があったら、この本のレビューをしようと思う。