区役所でハンコを使わなくなって何年になるだろうか。
今日は野暮用で出かけたのだが、まず最初に戸籍関係の書類申請でのことだ。わたしときたら記入は何カ所も間違うわ、写真付き身分証明書がないために話の途中から同行家族の免許証を見せたところ「では書類の申請者を免許証をお持ちの方に変更してください」と言われてぐりぐり傍線で消すわ、あげくに現住所が本籍だと思っていたら前住所がそうだったことを思い出したわで、申請書が傍線だらけの汚い状態になってしまった。
仮に20年も前だったら、いったいどうなっていただろう。提出用の押印と訂正印で、たいへんな騒ぎだったはずだ。訂正用のハンコを持参していなければ、近所で買ってこいといわれた可能性もある。実際に区役所や公的機関の売店には三文判が売られていたという、冗談かと思える実話も耳にした。
あるいは区役所ではなく別の役所だったら、いまも「印鑑があったら、ここに訂正印を押してほしい」と言われる可能性もあるかもしれない。保健所に製菓衛生師の申請に出かけたとき、とくに指定がなかったので西暦で提出日を書いたら「訂正して、平成にしてください」と言われた。あれは試験に合格してまもなくだから、12年くらい前ではないだろうか。
ハンコ使用場面が大幅に減って、それだけでありがたい世の中である。願わくば各種の手続きなども、さらにスリムになってもらいたい。