また食べたいというのでもないが、あの味をどう最近の人たちに表現したらいいのかと、ふと考えた。
見た感じでは似ているものが最近もある。ケーキドーナツという名称で検索して、出てくる画像のうち、最近ぽくないもの——ミスドのオールドファッション的に見えるもの以外で、丸みのある穴あきドーナツに薄く砂糖がまぶしてあるものだ。だがそうしたものは、昔のものより美味しいはずだ。いまもしあの味で1個あたり100円もとられたら悲しい。
昔のものは、水分が口から奪われる系で、いわば鈴カステラの生地が大きくなってドーナツ型になった雰囲気だが、最近の鈴カステラがもし美味になっていたらこの例も通じない。
食べたいわけではないのだが、あの味はいったいどうやったら再現できるのだろう。昔は菓子屋やデパートの食品売り場などで、5個入りくらいの箱で売られていたと思う。多少は日持ちのするものだった。
思い出せる範囲では、たまごは、さほどはいっていなさそうな味だったし、牛乳も感じなかった。もしや小麦粉と砂糖と、水と膨らし粉だったのだろうか。けっこうすごいな、それは。
ん〜、でも、探せばありそうな気がする。
別にあれをまた食べたいわけではないが、どこかに車で出かけてきた親たちが、美味しそうなものがあったよと目の前に出してくれた喜びだけは、覚えている。