無料(または定額制)に、なびいてしまう

 よくないことだとは思うが、もはや反射的な行動である。
 興味のある本をAmazonのリストに入れておいても、その中のどれかが読み放題(月額制)にはいった途端、ほんとうに読みたいのがどれであるかではなく「いまならタダだから」と、それをダウンロードしてしまう。これでは、もしサービスを提供している会社に悪意があったら——世論を動かすために、ある傾向の本、ひいきの著者ばかりを無料にすれば、わたしはたちまち手中に落ちることだろう。

 雑誌も読み放題のサービス(楽天マガジン、ブック放題など)で読めるものが増えたので、書店で見かけても「うちで読めるものかもしれない」と、購入をためらってしまう。むろん「置く場所がない」という切実な思いがあるので、個別に料金を払っても電子書籍を優先したいところではあるが。

 この数ヶ月の自分が、定額制にかなり敏感になっているのは、間違いなく事実だ。

 こんな風にカネにしばられ、なんでも安くあげようとしてしまうと、そのツケを払う日が来るような気がする。
 そのツケとは、将来的に自分が何かを創造または生産しても、周囲から「お得じゃない」という目を向けられてしまいそうな、さみしい予感だ。そしてその予感は、わたし以外の「安くあげようとしている人たち」も含め、世の中の傾向となって、もしや社会全体の芸術や産業をむしばんでいくことになりはしまいかという悲しい連想へと、つながっていく。

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