ふと思ったのだが、いいお値段という表現は、仮に日本語ネイティブであっても自分の財布からカネを出すくらいの年齢にならないと覚えない言い回しではないだろうか。文字だけ見れば「高い」とか「値が張る」ニュアンスがない。
ちなみに英語で good price は、場合にもよるが、「高すぎない」のほか、「妥当な額」、あるいは売る側の視点に経立てば「いいお値段」の意味があるようだ。best priceの用例を見ると、どちらの立場か(売る側か買う側か)により、高い金額か、安い金額なのかが決まるらしい。
会話で、イントネーションの違いがわかる場合は「いいお話ですね」が皮肉なのか、ほんとうによい話と思っているのかは判断ができるが、「いいお値段ですね」を妥当な額という意味で使う事例をわたしは知らないので、これはもう「慣れるしかない」のだと思う。
言葉というのは、考えれば考えるほどおもしろい。