ユニリーバ社が新卒などの採用時に応募で提出される履歴書から、写真、性別、フルネームを不要とする判断をしたそうだ。これは外資であれ日本に事務所をかまえる会社としては、英断である。ほかにつづく企業が現れることを切に願う。
Blogos しらべる部 2020.03.10 「履歴書から顔写真と性別をなくします」ユニリーバの採用選考が話題
実はもうかなり前の話になるが…記憶違いでなければ30年くらいは経つかと思う。アメリカの企業では応募時に写真添付や、年齢、フルネーム、個人的事項の詳細を書くことはほとんどないと聞いていた。募集側もとりあえずは表示内容がざっくりしていて、その結果の笑い話として「条件がよさそうな会社が人材を募集していて、書類を送ったところ、どうもいま勤めているこの会社かもしれないという気がしてきた」というものがあった。実際によくあることなのか、あるいは有名なギャグなのかは不明だが、これを聞いたのは1回ではない。
実際にわたしも英文の履歴書サンプルや書き方の説明を読んだし、自分で書いてみたこともあるが、直近の数年間に関して学業や職歴を書く、応募事由を明確にする、そして自分はどう適任だと思うといったことを書きなさい——という助言がほとんどであり、そのとおりに書いている。日本のように、生年月日やら、小学校以降の学歴を埋めるような長い空欄がついた履歴書が市販されているということもない。
雇う側にしても、募集をかける際に「○○歳くらいまでの女性」やら「○○歳〜○○歳の男性」などは、ほとんどの場合、アメリカでは書けないことになっている( ← “アメリカ 法律 ADEA”などで検索すると事例が出てくる)。個人商店のようなところでの募集や、年齢が大きく技能に関係しそうな特殊な仕事は話が別かもしれないが、たいていは違反になるそうだ。
そういった話をだいぶ前から頭に入れていたこともあって、日本の求人広告は大手であっても、性別と「○○歳以下」などが当然のごとく書かれていることに、わたしは少なからず違和感をいだいていた。能力や、その仕事に適任であるかどうかの前に、性別と年齢でふるいにかけてしまうのかと。
それにしても、日本で市販されている履歴書には、家族構成や扶養義務のあるなしなども記載欄がある。採用されるかどうかもわからない段階でそこまで書く必要があるのだろうか。合否に関係があるのではと案じて書いてしまう人が多いだろうとは思うが、そこまで細かい点を含めた履歴書を、不採用の際に返してくれるのかどうかは会社の一存である。
ユニリーバ社の今回の件で、他社もぜひ検討をしてもらいたい。雇うときは学歴や職歴、そして技能を第一の参考とし、性別や見た目は二の次であるべきだ。そして家族構成など個人的なことは、採用することになってから必要の度合いに応じて尋ねればいい。
ちなみにユニリーバ社は、シャンプーや基礎化粧品、家庭用品のほか、アイスクリーム(ベン&ジェリーズ)などのブランドを持つ会社である。日本法人は、かつて「日本リーバ」と呼ばれていたが、現在はユニリーバ・ジャパン。