自分の頭で考える習慣を、子供のうちから

 ラジオ番組で、お笑いコンビ「ナインティナイン」の岡村という人が、とんでもない発言をしたそうである。大意としては、コロナ騒ぎのあとでお金に困った女性が風俗業界にやってくる、そして数ヶ月でいなくなる。普段ならば風俗では見られないようなかわいい人たちが(このコロナ騒動のせいで)やってくる、それが楽しみ、といったものだったらしい。

 まあ、その発言がいかに不愉快で、いかに常軌を逸しているかは、すでにわたしの何十倍もの迫力で書きまくっている人たちがいるので、みなさんにおまかせするとして——

 思い出したことをひとつ。

 何十年も前のテレビ番組である。

 教育バラエティみたいなものだったのではないかと思うが、詳細はわからない。とにかく小学生くらいの子供たちが、劇のようなものをやっているコーナーがあった。
 代官役のような男の子が、村人に「年貢が払えないなら、借金のかたに、この娘を……」というのだ。村人役の子供たちは「きゃー」と声をあげていた。

 娘がどこに売り飛ばされるか、何をさせられるか、おそらく当時の小学生たちでは想像もできなかっただろう。だが普段のテレビ番組などの影響で「カネがなければ娘を出せ」というのは、自動的に出てくる言葉だったのではと思われる。

 わたしはそのときけっこう若かったと思うのだが「この番組、どうかしている」と、考えた。誰も子供たちの劇にコメントをしなかったのだろうか。いや、それどころか内容は子供たちのオリジナルではなく、番組が用意したものだった可能性すらある。それくらい、昔はテレビ番組の意識が低かった。いまも低いが、当時は輪をかけて低レベルだった。

 あんな時代の、なんとなく周囲がそう言っていたから覚えた台詞を、自分の心の中にかかえたまま大人になった人は、けっこういるのかもしれない。今回の岡村という人のことで、そんなふうに感じた。

 子供時代の貴重な日々を、きちんと「自分の頭で考える」ということをさせずにすごさせてしまうのは、子供たちの未来への損失であると同時に、本人たちに失礼である。せめてこれからの子供たちは、ものを考える機会がじゅうぶんに保証された環境で育ってもらいたい。

 最後に。
 いうまでもないことだが、借金というのは契約をした個人が返済すべきものであり、契約の際に保証人などとしてサインをしたのでもないかぎり、その家族が縁者というだけで身ぐるみはがされたり、娘など家族が、どこかに売り飛ばされて強制的に性風俗で働かされたりすることは、ありえない。
 蛇足と承知で、それは書いておく。

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