あれはもう20年も経つのだと、しみじみ驚いてしまった。タイタニックなどの映画で有名なジェームズ・キャメロン制作で、ダークエンジェルという作品があった。20歳前後のジェシカ・アルバが同年代の主役マックスを演じていた。
あの舞台は2019年だったらしい。2009年に研究所を集団で脱走した少年少女(遺伝子操作をされて超人的な能力を持つ)が、その数年後にアメリカで発生したネットワークへのテロ攻撃により弱体化された社会で、見つからないように必死に生きている。テロで電力すら不安定になったアメリカという国において、ネットワークから自分たちの存在を追跡できなくなったのを幸いに、目立たぬように庶民的な生活を営んでいこうとしている話だ。
主人公マックスは自転車で小さな商品を運ぶメッセンジャーの会社に勤めている。町はブロックごとに管理され、別のブロックに移動するにもゲートで許可を得るような不便な社会だ。
一部の金持ちはそのまま金持ちで、貧富の差はかなりある。
やがてマックスは、上流階級のボンボンかと思いきや実は世間で話題のサイバージャーナリスト、テレビの電波をジャックをしては言いたいことを言って去る男「アイズオンリー」ことローガンと知り合い、協力し合うようになる。
見はじめた当時は、近未来を描く話はいくらでも描きようがあるだろうに、この舞台設定はけっこう暗いなと思ったものだが——昨今の世の中を見ていて、ちょっとしたことで暮らしががらりと変わってしまうことはあり得ることだと、実感している。しかもあの番組は、普通に人が思い描くような核戦争や天変地異ではなく、サイバーテロ(電磁パルスによる攻撃)が原因だった。
あの物語は2019年以降を設定としていたと気づいて、今日はなんだかジェームズ・キャメロンてすごいんだなと、勝手に親しんでしまった。