家にいる人が増えてネット使用率が高くなり、モバイルルーターが品薄だそうである。納品まで1〜2週間という話もあれば、申し込みを打ち切ってしまった会社もあるとか。
思えば、仮にモバイルルーターがすんなりと人の手に渡ったとしても、大元の蛇口という問題がある。
大企業や役所、大学などの多い場所ならば、もともとの需要を考えてデータ用の回線が太い。だが地方都市の住宅街や、都市部であっても少し中心から離れた場所であれば、仮に多くが最新のモバイルルーターを買ってきたにせよ、一度に使えば大元の蛇口から水が出てこない。
さまざまなものが、品薄、品切れである。
たとえば本を読みたいと考える人が、ネットでポチッと注文ボタンを押しても、取次店の在庫が切れてしまえば、連休や営業自粛による人手不足で、出版社との連携がうまくいかず、そちらも品切れだ。
連休前からホットケーキミックスやたこ焼き粉が品薄になり、連動して小麦粉類が品薄。そこで連休中は通販サイトに注文が集中したのだが、サイトによっては注文を閉じて一時閉店にしてしまったものもある。注文が多すぎてさばききれず、在庫の補充もいつできるのかわからない状態で新規の注文を受けてはいられないのだろう。
幸いにも売るものがある会社や店舗(食品店、菓子店など)は、人出が減って売り上げが落ちたためできれば通販をしたいと考えるだろう。だが通販もまた、ただでさえ人手不足なところに荷物があふれかえっている物流業界のことを考えれば、遅延で鮮度が落ちるリスクも無視できない。
ネット社会だ、在宅勤務だといえど、やはり製造や物流など、地道な作業をしてくださる方がいて初めて成り立つものだ。
生き方や社会について大きく見直すきっかけともなりうる今回のコロナ禍。
完全に従来通りになることはないにせよ(そしてそれが望ましい姿とは限らないのはもちろんのことだが)、オフィス勤めの人々ばかりを考えてしまいがちなこれまでを反省し、より多種多様な業界とそこで働く人々に、否応なしに目を向けて正しく評価していくことが、社会の立て直しにおける焦眉の急と言えるだろう。