先日わたしの徒歩圏内にある集合住宅で、人気菓子店にお勤めの方が殺害されるという事件があった。
容疑者がすでに死亡しているとのことで被害者の話題が中心になってしまいがちなのがなんとも腹立たしいところだが、先ほど何か続報はないかと検索してみた。すると、どうやら容疑者は夜中に被害者宅へ出向き、「外から脚立をかけて2階の窓から侵入した疑い」があるとのこと。
…これは、気をつけようにも、気をつけられるものではない。そこまでのことをしようとする人間がいるのならば、都会のどこの住宅であっても、危険を完全に排除できるものではないだろう。
事件があったその建物は、その界隈からは中野区で道幅が昔ながらに狭いものの、すぐ手前の杉並区までは道幅も広い大通りであり(地図で阿佐ヶ谷駅から中杉通りを北に目で追っていただければわかるかと思う)、昼ならば路線バスもひっきりなしに走っている。あんな大通りのビル2階に外側から脚立をかける不届き者がいるなどと、なかなか想像できるものではない。
見られてもいい、どうなってもいいと、そう思っている人間には、普通の人間が考える一般的な対策など、まったく関係がないということだ。
それは、たとえばだが、玄関の鍵を何重にもかけて用心したところで、襲いに来る人間が重機で突入して玄関ドアごと壊してしまうつもりでいるならば、対策にならないのと同じことだ。そしてそこまでの危険性をあらかじめ考えておける人は、少ないはずである。
そこから近い下井草で起こった2019年の3月の女性殺害事件では、男が屋根を歩いて被害者宅のベランダに下り、そこから室内に侵入して帰宅を待ち伏せていた。こちらは殺害後に自殺をせず日々を送っていて逮捕された。
あのときも、屋根を歩いたという行為に驚いたが、あの事件が今回の容疑者の行動に影響を与えたということは、ないのだろうか。なんとも、腹立たしいことである。