京王百貨店(新宿)がときおりやっている駅弁大会。各地の駅弁と食品(飲料や菓子など)を催事会場で連日販売するものだが、先ほどサイトを見たところ、時間単位での持ち帰り予約や、一部商品の冷凍通販がおこなわれていた。
店頭で受けとれる予約商品の種類は冷凍での通販に比較して多かったが、いくら時間を決めたところで、会場の混雑はあまり緩和されないのではと思う。欲しいものを受けとってすぐその場を去る客はあまりいないだろう。無事に買えたから安心とばかりに、残る時間で冷やかし半分に会場を見ようという人もいるはずだ。そして当然ながら、別フロアを見てから帰る人もいる。
目玉の催事を守りたい京王が、なんとかして安全に開催するための工夫は、素晴らしいことではある。だが食品のからむことであるが故に、もし急に開催に暗雲が…となった場合、素人考えながらも、廃棄のリスクが心配だ。
かといって、仕入れのほとんどを冷凍状態にして「帰宅後に電子レンジで温めて」と販売する方式もとれないことだろう。ほとんどの商品は通常販売のための容器を使用し、冷凍への工夫はなされていない。さらに、ほとんどの都道府県で、飲食物や弁当を提供する免許と、冷凍加工する免許は別であるはずなので、急に商品状態の変更もできない。また、客がきちんとした冷凍状態を保ったまま持ち帰るかどうかの保証もない。
一時期は新宿のデパート食品売り場を駆け足で何軒も見てまわるのが趣味だったわたしも、いま催事に行きたいかと言われたら、躊躇する。
今後のデパート(とくにイベント)は、どうなるのだろうか。
こういったことをつらつら考えていると、20年くらい前にコンビニのAM/PMが売っていた「フローズン弁当」というのは画期的だった。店は冷凍状態で弁当を在庫するため廃棄リスクが少ない。客は名前や写真などで「○○弁当」と注文すれば、店側がその場で電子レンジにかけて出してくるので温かい状態で持ち帰れる。
できあがった状態で常温または冷蔵で陳列されていないため、腐敗リスクが低く、その分だけ味が自然だったように記憶している。市販品はどうしても味が濃くなるのだが(しっかり味をつけて熱を通し、糖分も多めにするためだろう)、気のせいかフローズン弁当は、そのわざとらしい濃さがなかった。
あれは、時代が早すぎたのだろうなと、思っている。
ああいうシステムは、いまこそ必要なのではないだろうか。