川淵氏が森会長の後任となることを、裏話まで含めて自らしゃべってしまったのは、昨日のことだ。スポーツが苦手で関係者はおろか選手の名前もろくすっぽ言えないわたしが、川淵氏と聞いてすぐさま「ああ、あの人か」と顔まで思い浮かべることができたのは、「あの、オシムの人だ」と気づいたからだった。
サッカーの日本代表監督をオシム氏に依頼している最中だった2006年。本人から承諾の返事が来ていない段階なのに、川淵氏は報道陣の前で「あ、オシムって言っちゃいましたね」と。「どうしよう、聞かなかったことには、なりませんよねぇ」とも、言っていた気がする。天然なのか、策士なのかと(噂を立てて雰囲気作りをしてしまえば断りにくいと考えた?)と、あのときは迷ったのだが、しゃべりすぎた今回の件で、ああ、そういう人なんだとの思いを新たにした。
検索したところ、日刊スポーツも同じことを考えたようで、当時の記事を再掲していた → 2021.02.12 あっ、言っちゃったね」川淵氏といえばあの失言
オリンピックには最初から賛成していなかったが、誘致が決まった以上は積極的な反対はしないで見守るつもりでいた。だがどんどんと出てくる不手際や不祥事、去年からは新型コロナ、そしてあげくに昨今の森会長発言で、一日でも早く誰かが「やらない」と言うべきではとの思いが、強くなってきている。
そこに出てきたさらなる追い打ちが、川淵氏だ。自分が不祥事で辞めるというのに、ほぼ同年代で価値観が似た人を後継に指名したという森氏と、森氏を相談役にしてがんばると言ってしまった後任の(のちに辞退した)川淵氏。つまり「顔だけ変えて雰囲気は同じままやりますよ」と、後任予定者が自ら公言してしまったのだ。だめだこりゃ、である。
それにしても、実質問題として開催は無理と思われるため、オリンピックについては早いところ「やらない」と、言ってしまったほうがいいはずだが、いつ誰が言うつもりなのか。