パソコン通信からインターネットへの移行期(いちおう90年代終わりごろとしておく)は、利用者の環境もそれぞれに違っていたため、メールに大きな画像をそのまま貼りつけるということはあまりなかった。
当時は大学やIT関連企業などで自由な使い方ができている人と、趣味のパソコン通信の延長線上で細々と使っている人の差は歴然で、新入社員が一般人に1メガのファイルを送って取引相手のメールボックスを詰まらせたという、先輩社員の泣き笑いが聞こえてきたこともある。
いまや、画像1枚が、1メガ2メガであるだけでなく、写真1枚で足りる用件はほとんどない。メールボックスの容量制限も「ギガ」単位の時代であるため、わたしも以前なら気にしていた相手の通信環境やファイルサイズを、最近はあまり考えなくなってしまった。
ところが、逆の事例(自分が気に掛けていただく)を経験するようになって、初心に返った。
最近の企画で、あちこちのお菓子屋さんとメール交換をする機会に恵まれているのだが、先様のほうでわたしの環境に気を遣ってくださるのか、あるいはメールでなくそのほうが便利なのか、「画像は外部のストレージサービスに載せておくのでダウンロードしてください」という話になったことが2回あった。片方は時間制限があり、URLを知っている人のみというものだったし、もう片方はアクセス制限のファイルを一時的に共有していただいた。
わたしがまじめな用途に使っているメールアドレスは、1通の容量制限もメールボックス全体の制限もなく、あるのは○○日以内で消去、という条件のみだ。だがよく考えれば大手のウェブメールでもない場合には先方にこちらの状況は想像が難しいわけで、心配してくださるお気持ちはありがたいことだ。
そして、そうしたご厚意に甘えると同時に、今日からは自分の側からの前もって「いただく写真は、メール添付でも、ダウロードでも、どちらでも対応可能です」と書き添えておくことにした。
パソコン通信時代に「100KBのファイルを載せちゃったけど、みんな制限時間内にダウンロードできるかなぁ」と言っていた人がいた。当時のパソコン通信は1時間以内という制限があった場所も多く、非力なモデムで接続している人にとっては、100KBは大きすぎたような記憶がある。
最初に自分で買ったパソコンのハードディスクは、たしか100MBだっただろうか…。Googleでは無料メールに15GBが付属してくる時代である。隔世の感がある。