以前から「これから人口が減っていくのに」とか、「景気よくないのに新築の住宅は供給過多では」とか、いろいろ思ってきたが、最近こまめに不動産情報を見ていて、広告掲載から数ヶ月すると「数百万円引きにする」中古の一戸建てやら、建築から数ヶ月以上も経てまだ入居者が決まっていないらしい物件が新築欄に載っているのを見て、複雑な気持ちだ。
もともと値段を高めに設定していて下げている事例もあるかもしれないが、昨日などは1200万円引き(それほど豪邸ではない一戸建てなのでかなりの割引率)を見てしまい、これはおそらく売主の計画が大幅に狂ってきただろうなと、思わざるを得ない。
以前と比較して、購入物件を終の棲家にすることは考えておらず10年くらい住んだら住み替えよう(売って別の場所に買おう)というのは、気楽には考えづらい世の中になってきている。楽に売れるとは限らないからだ。かといって、保証人やすぐ近所に住む家族の存在でもないかぎり、高齢になってからの賃貸住宅探しは条件が厳しい。やはりある程度の年齢以上なら、持ち家を目指すほうが面倒が少ない。
将来の引っ越しを考えて新築物件と中古物件をそれぞれ見ているが、広さが同じなら値段の差は数百万円程度である。ほとんどが土地代なのだろう。そして古い家(といっても築30年前後)ではかろうじて間取りに個性が残るものもあるが、この10年くらいの建築や最近の建て売りを見ていると、同じ地域に同じような間取りと外観で建った家が多く、これならば資材調達や修繕管理の面でコストが下げられるのだろうと想像できる。つまりは、土地代なのだ。
そして、その「土地」の価値は、かなり不安定である。
いまにはじまった話ではないが、いつ下がるか、わからない。
これほどあれこれ考えて、高い東京(23区内)に住居を求めるよりも、都下や近県に広めの物件を探すほうが現実的なのだろうが、人生の半分以上を同じような場所で暮らしてみると、もう遠くに引っ越すことは、できないのだ。やはり遠方へ引っ越すエネルギーというのは、若い世代こそ、発揮しやすいものなのだろう。