昔気質(むかしかたぎ)で、職人であり経営者といった人物がいる店がある。口にしなくてもわかる、味がよければ客に通じるといった人柄がにじみ出て好ましく思うのと同時に、「いまの世の中、法螺話すれすれの表現で宣伝する店が増えているのだが、こういった昔ながらの店主はそういった店に太刀打ちできるのか」と、心配になってしまうこともある。
つい数日前、話しかけても「うちなんぞは普通の店で」、「たいしたことはありませんが」という謙虚すぎる店主に出会った。何十年もその場で商いをしているのだから、まさか人見知りということはないだろう。おそらくわたしが馴染み扱いされていない(わたしに対しては言葉数が少ない)ということなのだ。
ネットで宣伝もしていない、電子マネーも使えないといった店は、今後は難しいかと思うが、そういう店があるうちは、わたしは探し出して買い物してみたいと思っている。