ひどい夢を見ると体調が悪いのだと考えさせられるが、変わった夢を見ると「いったい何なのだろう」と考えてしまう。
今日の夢。
その夢の中の世界では、少しずつ「寝ていると家に老婆がはいってきている」という人が、増えてきているらしい。
人が普通に室内で休んでいるといつの間にか老婆が部屋にいて、金を見せるというのだ。数千円、数万円の金を住人に見せ「触ってみて、とにかくほら、触ってみて」と、しつこくするらしい。
触ってしまったらどうなるのかはわかっていないが、「どこから家にはいったんだ、あんた誰だ」という、しごくまっとうなことを叫ぶと、いつの間にか家から出て行くらしい。
ところがその老婆が、ついにわたしの寝ている部屋にもやってきた。そして1万3千円を見せて「触ってみて、ほら、とにかく触るだけでも」としつこい。わたしは「これはわたしの頭がおかしくなって見えている幻影なのか、でも最近よくこの話は聞くし、そうするとこれが出る家は侵入経路がある欠陥住宅なのか」などと考えながら、とりあえず怖いので「出てってくれませんか、どこから家にはいったんです」と叫びつづけると、かき消すようにいなくなった。
だが、老婆がいなくなったとき、夜中なのになぜか近所に住む知人がやってきたので、その話をすると、自分も経験があるしこの部屋には老婆がたしかにいた痕跡があるので、話を信じるという。しばらくふたりで「あれは何なのか、実在する普通の人間なのか、何らかの組織から人を怖がらせるために大量に雇われている何かなのか」などと話をしていたのだが、そのときに知人が「ほらっ、そこの毛布の下、見て!!」と叫ぶ。
予備においていた毛布をめくると、そこに出番待機中らしい、まだ小柄で不活性状態の老婆がいた。冷凍といえば冷凍のようだし、体に綿飴のようなものがまとわりついていて「つぼみ」のようではあるし、これが正常に活性化されたら、おそらく「金に触ってみろ」と、言い出すのだろう。ちなみに老婆は浴衣のような寝間着のような、とにかく和っぽい服装をしていた。
老婆の途中経過を見たのははじめてで、これは今後の対策に大きく貢献するに違いないと、知人とふたりで興奮するのだが——夢はそこで終わったような気がする。
起床時には、体調が悪いときのような体の痛みもなかったので、ただの不思議な夢だったと思うことにした。