家のどこかに…「仙境異聞」

 持っているような気がして昔のメールを検索したところ、2018年にe-honで注文して近所の書店に受け取りに出たことになっていた、平田篤胤の「仙境異聞」。不思議な存在に出会い、山で7年のあいだ修行を受けた少年が語る話を、嬉々として平田篤胤が書き取ったものとして知られている。

 読んだ記憶がほとんどない。おそらく、積んであるのだろう。

 なぜこんなことを書いているかというと、Kindle Unlimitedに、坂東眞砂子の「貌孕み」(かおはらみ)という連作短編があり、それがこの仙境異聞の世界を引きずったものだったからだ。先にそちらを読んでしまったが、平田篤胤のほうを頭に入れていたら、もっとおもしろかったのかもしれない。

(画像はAmazonから)

 この作品中では、かつての少年「寅吉」が30歳くらいになってまた家に現れ、家の人間らと交流を持ちながら、昔語り(自分が見てきた近代日本と思われる都会や外国の話)をしていく。語っている江戸時代も、語られている擬似的な現在も、どちらも人間の業が深くて気持ちがけっこう暗くなるが、ああ坂東眞砂子とはこういうのを書く人だったのかと、亡くなってしばらく経つ2022年に、あらためて考えた。

投稿者: mikimaru

2021年現在「バウムの書」、「お菓子屋さん応援サイトmikimarche」などのサイト運営に、力を入れています。 かつててのひら怪談というシリーズに参加していたアマチュア物書き、いちおう製菓衛生師の資格を持っています。 バウムクーヘン関連や、昔からの知人には、「ちぇり」もしくは 「ちぇり/mikimaru」を名乗っています。