悪魔払い系の映画に、異種格闘技戦はありえるか

 エクソシストという70年代のホラー映画がある。初回は主演の少女リーガン(リンダ・ブレアが演じた)の描写がひたすら話題になったが、リーガンが出る第2作が数年後にあり、以降はリーガンは出演せず世界観をつないだのみの作品が数作あった。

 Netflixに「エクソシスト ビギニング」と、「ドミニオン」という作品があった。どちらも主演はステラン・スカルスガルドでその役どころはアフリカで発掘中のメリン神父。第一作でリーガンをすくった神父のひとりであるため、この2作はそれ以前の話ということになる。

 なぜ似た話が2004年(ビギニング)、2005年(ドミニオン)とで別々に公開されたかというと、こちらのブログさんがたいへん参考になる( → はにはにわ。さんの記事: エクソシスト/見る順番)。「ドミニオン」が先に撮影されたが映画制作会社がその出来に満足せず、お蔵入りになっていたところ、同じ題材でもう一本が作られた(こちらが「ビギニング})。だがそのあとでドミニオンが公開になった、だから似ている、ということらしい。

 ドミニオンを先に見てとくに感じたのだが、場所はアフリカであり、そこになぜかキリスト教の教会が埋まっているようなので発掘をする、という話だ(これはどちらの作品にも共通している)。
 キリスト教っぽいものが埋まっているからといって、それはキリスト教とは違うのだろうし(時代がキリスト教が広まるよりもかなり古い時代のものだったため登場人物らも半信半疑)、しかもドミニオンに関してはとくにだが、出てくる化け物的な存在が、わりとアジアっぽい見た目をしている。

 おっ、これはもしや、初めてわたしの前で異種格闘技戦がおこなわれようとしているのだろうか。ちょっと期待した…。

 第二次大戦中にナチスにより地元の村を破壊され、自分も関与させられてしまったメリン神父は、そのとき村人らをすくってくれなかった神を信じきることができずに、教会を(一時的に)離れて趣味の考古学に没頭していた。その目の前に、よくわからない存在が出てきて暴れまわり、あげくに問答をふっかけてくる。

 エクソシストなど悪魔払い系の映画は、キリスト教が善である(もしくはキリスト教以外は存在しない)世界観で描かないと破綻するものと思われる。たとえば日本の山深い地域で何か不可解な現象が起こったとき、人が相談するのは寺であったり古くから地元で話題になっている民間信仰の対象であったりするわけで、間違ってもローマカトリック教会から派遣されたエクソシストが出る幕はない。
 つまりこの「ドミニオン」も、何が何だかわからない相手が出てきたとき、キリスト教の説教が通じるとは限らないわけだ。

 だがこうして、わたしの目の前で、往年の「モハメッド・アリ対アントニオ猪木」的な話題がくり広げられるのかということになれば、わくわくする。見ながらちょっと期待した。

 …だが、まぁ、う〜む、話はそこそこであった。つまらなかったというほどではないが、ぜったいに見てくれというほどでも。

 つづいて「ビギニング」を見たわけだが…。
 こちらは異種格闘技戦の味わいはかなり薄まっていた。最初からはっきりと「キリスト教の教会が砂に埋まっている」という設定だ。途中でさらにあきらかになるが、その教会の存在は一部の関係者が以前から知っていた、ということ。つまり最初から「以前からキリスト教と敵対していた何か」がいると、狭めているわけである。そう限定しておくことで、キリスト教の儀式や言葉が相手に武器として刺さっていく土壌を作ったのだろう…。だがこちらは、まじでつまらなかった。なんとか見終えた。

 2023年以降、初回のエクソシストの後継作品がシリーズ化されるそうである。重要な役どころとして初回のリーガンの母を演じたエレン・バースティンが登場するそうだ。

 エイリアンとプレデターが戦う映画はあるが、キリスト教とは無縁そうに見えるなにかが暴虐のかぎりをつくしているところに、とりあえず何かをしにやってくるローマカトリック教会という話が見てみたい。そんな映画がすでにあるならば、教えていただければ幸いである。

投稿者: mikimaru

2021年現在「バウムの書」、「お菓子屋さん応援サイトmikimarche」などのサイト運営に、力を入れています。 かつててのひら怪談というシリーズに参加していたアマチュア物書き、いちおう製菓衛生師の資格を持っています。 バウムクーヘン関連や、昔からの知人には、「ちぇり」もしくは 「ちぇり/mikimaru」を名乗っています。

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