U-Nextでずっと最後の2話を見ずに溜めていた「バルタザール」のシーズン4だが、思い出して見てみた。
シーズン3までは「妻を殺したのは誰か」が主軸。最終話では法医学者である主人公のバルタザールは心身共に傷つき、死亡してもおかしくないほどの重傷を負った。心の問題として考えても、生きつづけることが困難なほどの衝撃を受けたはず。これで終わりにするのかなと、そのときは考えた。こんなことがあっても立ち直れて、同じ職業を継続できるという主人公を、わたしは思い描くことができなかったのだ。
だがとりあえず、シーズン4は作られた。
3まで登場していた女性警部はパリを離れて引っ越してしまった設定で、新たに別の女性警部がやってきた。前者はシーズン3の最後でバルタザールと思い合っていることが確認されたが、新しい警部はかつてひとときの火遊びをした間柄という設定。それ以降は恋愛関係になく、物語の中でも別に特別な関係とはなりそうにない展開。
バルタザールは自分が検視する相手(死んでいる人)と脳内会話をする。シーズン3までは殺害された妻がその当時の服装で好きなときにやってきては話をした。これは霊能力とかそういった話ではなく、バルタザールの頭がわかっていることを相手に言わせて自分の考えを整理するような扱いだ。だから誰に殺されたのかを妻は(幽霊ではないので)言わなかったし、実際に殺人者がわかってからのシーズン4では、服装も変わってはっちゃけた姿でにぎやかに登場するようになった。
どう話をつづけるのだろうということが心配だったが、シーズン3のラスボスだった人物が刑務所内からストーカーであるかのごとくこまかく連絡をしてきたりと、心身共に不安定になってカウンセリングを受け、服薬をする主人公。新しい警部のほうにも何か秘密があるようで、そのふたつを描きながらもストーリーは個々の事件を描いていく。
これまでのような大きな軸はないのかと思ったが、最後の2話で、話が動いた。最後の数分間まで「え、黒幕だれ」と首をかしげているうちに、シーズン3のころに少しだけ出た話がここにつながるのかと、合点がいった。とってつけたような黒幕像ではなく、ああそういえばそういう話があったっけと、いちおう準備されていた印象だ。
しかし、シーズン4の終わり方では、最終シーズンであるという次の話が、どうはじまるのか皆目見当がつかない。本国では1月に放送されたようなので、半年くらい待っていればまたU-Nextにでもはいるだろうか。そのときを楽しみにするとしよう。」