英語で流れてきた記事を自分の読み間違いかと目を擦りながら2回チェックし、ネットでその映像を見た際には「ディープ・フェイクな映像ということはないんだろうな」とまで考え、CNNとBBC、そしてロイターまで確認してしまった。
チベットの高名な宗教的指導者であり人望も厚く、お高くとまったところもなく世俗のことにも通じていそうで…と、素晴らしい人なのだろうと考えていたダライ・ラマ14世が、実は世界のどこにでもいるおっさんと同レベルだったとわかった瞬間である。動画はリンクしないのでネットで検索されたし。
しかもTwitterでの言い訳が、いたずら心があるとか、わるふざけしてしまうことがあるといったもので、救いようがない。
— Dalai Lama (@DalaiLama) April 10, 2023
ネットでは、どういうわけかチベットの文化を代弁するような方々が現れ「あれは挨拶です」などと書いている例も見受けられるが、500歩譲って少年とのキスが挨拶であるとしても、相手に舌を出してsuck my tongue(舌を吸え)などという文化があってたまるかである。
動画で周囲の笑い声が聞こえるのが、たまらなく気味が悪かった。
相手が男児であることによる(一部の方々の)事態軽視、そして本人の公式アカウントが「悪ふざけ」的な言い訳で済まそうとしていることから考えて、根はほんとうに深い。
日本に限らず政治はアホだらけ、そして宗教的指導者もそこらの俗人となると、この暗い世の中において、人の希望はいったいどこにとどまっていられるのだろう。ひとりひとりが胸に溜めてきたそれぞれの小さな憂いが、こういうことをきっかけに全体にかかる大きな黒い雲になる。
ダライ・ラマについて別に詳しくもなく、ただなんとなくの好感をいだいていただけの人間でもこうして衝撃を受けているのだから、世の人々の心が簡単に晴れることはそうない。