評判らしいのだが、たまたまネットで予告動画を見た関係で気になっていたタイの映画 Hunger(邦題「ハンガー」)をNetflixで見てみた。
偶然に飛びこんだ世界で頭角を現す若い女性料理人と、一度はその師となった高名な男性料理人との確執と料理対決を軸に、味はわからないが高名な料理人を雇う成金の醜悪さ、カネがない生活と富裕層などの社会的な話をからめつつ、最初から最後まで「よくある話」の路線を突っ走った作品である。
見はじめて数分後「これって、こういう話だろうね」、「そうだろうね」と話した内容がまったくブレずにその通りに終わった。意外性はゼロだ。そして出てくる料理も、料理番組として見ると不味そうなものが多かった上に、衛生面でも「厨房でこりゃないだろ」という、見ていてつらい場面がちらほら。
見て損をしたとまでは言わないし、以下に書くように主演女優の成長が見られてよかったのだが、正直「なぜこれが世界的にNetflixのランキングトップになったのかが不明」である。食べ物対決というのは、話題になりやすいのだろうか。
さて、主演の若手女優チュティモン・ジョンジャルーンスックジン。
見ている途中で気づいたのだが、2017年に、秀才ふたりと金持ち同級生らが組んで国際的規模でカンニングをおこなう「バッドジーニアス」で主演デビューした人だった。そのときに高校生役だったのだから、実際もかなり若いのだろう。
その作品でも、やってきたことは悪くても最終的には人として正しい道を選ぼうとする役だったと記憶している。今回も師のもとを離れるのは義憤に駆られたからだった。こういう役の似合う凜としたイメージの女優さんである。
個人的には若いころの中野良子に似ていると考えており、今回もそれがきっかけで「数年前に若いころの中野良子みたいだと感じた女の子がいたが、これは同一人物か」と気づいた。また別の作品で出会えるのを楽しみにしている。