道を歩いていた。あるお宅の前で、運送業と思われる人のバンが後部ドアを開けた状態で停車していた。引っ越しにしては小さいが宅配にしては大きい車かもと思いつつ、その脇を通り過ぎようとしていたところ——
横に立っていたドライバーが携帯電話に向かい「ろくせんななひゃくユーロだとっ!?」と、大きな声を。
かなり驚いている様子だったが、たしかに大金である。ネットでのちほど検索したところ99万6千円だった。
それがどうしたのだろうと、それからしばらく考えてみた。
仕事に関係ある場合。
そのお宅の住人から、重いものを「ヨーロッパに送ってください、細かいことはそっちでやって」と言われて、とりあえず料金だけは調べようと自社に電話して調べてもらった。(これなら別に自腹ではないから大声の理由がない)
納品しようとした大きな輸入商品を玄関先で壊してしまい、価格を確認して絶句した。(大きなブツは近くになかった)
仕事に関係がない場合。
納品に来たのに15分待っていてと言われて暇つぶしに知人と電話(これはないわな〜)。
急にパリに行きたくなってビジネスクラスの往復運賃を尋ねた(これもないわな〜)。
連れも同じ言葉を聞いたので、わたしの聞き間違い説は、ない。さて何だったのだろうか。