自民党の新総裁は石破氏に決まった。正直なところ、高市氏でなかったことにほっとするやら、小躍りするやら。もっとも、高市氏になった場合の呼吸ができないほどの生きづらさから、少しだけ窓を開けて外の様子をうかがおうかという気分になれたというだけで、自民党政治には期待をしていない。
高市氏の何が耐えられないかというと——歴史認識、これまでのメディアへの圧力、わたしがまったく受けいれられなかった安倍路線の継承、夫婦別姓への反対であり、しかもそれらが純粋に高市氏個人の政治理念というよりは、票を支える支援団体(たとえば旧統一教会)の意向に沿っている可能性が高いという、救いようのなさである。
政治家個人が自身の信念に基づいてあれこれ発言するのは、当然である。そしてその言動で支援者が増減するのも、自然なことである。だが票を取りたいから支援団体の考えに合わせるということがもしあるのであれば、本末転倒だ。
石破氏は、元々の思想が鷹派である。その点はわたしと相容れないが、少なくとも安倍、管、岸田とつづいた国会軽視と形骸化には歯止めがかかるのではないかと予想している。国会を軽視することは許されないが、石破氏にはそうした常識がそなわっているはずだと期待しているのだ。
その意味では、裏側で勝手に決まってしまったマイナンバーカードと健康保険証の一体化も詳細をぜひ暴いてほしい。延期または撤回を。
いっぽうの野党だが、立憲民主党で野田氏が新代表になったことは、まったく後ろ向きだ。同氏はタイミングが悪すぎる国会解散で第二次安倍政権を許した生みの親であり、今後は維新と接近すると言われている。
自民も、立憲も、まったく思想が違うのに無理に一緒にいる必要がない人たちが多く在籍している。それぞれにある程度の分裂をして、考えの似た同士で歩み寄って新党を作ったらいかがだろうか。
与党や多数派の意見ばかりが通る仕組み、しかも国会軽視の現状が長くつづいた現在では、政権を取ること(野党にならないこと)が、だれしも最初に念頭に置くことなのだろうから、難しい話であることは否めないが。