ホラー各種や犯罪映画、精神的に問題ありそうな主人公を描いた作品をあれこれ見ているわたしが、あまりの気色悪さに2回も見るのを休んだ作品がある。U-Nextにはいっている「オテサーネク」(チェコ語タイトルは Otesánek 、英語のタイトル Little Otik ) というチェコの映画で、2000年の制作。IMDB は、こちら → IMDB: Otesánek)
○ 画面が正視できない(不味そうなものをひたすらアップで撮影したり、食べものそのものにグロテスクな加工がある食事シーン)
○ ストーリーがキモすぎる(子供ができないことを嘆いた妻を喜ばせようと、昔話にあるように子供に見立てた木の根っこを渡す夫、それを溺愛して服を着せる妻)
○ 普通なら成立しない狂気(木の根っこを正式に自分の子として周知させるため、偽装妊娠期間を設けておなかに張りぼてを入れる妻、つきあいきれないと思いながらも世間から妻の妊娠を祝福されて引くに引けない夫)
だいたい、これくらいのことが最初の15分程度で起こる。とくに食事シーンは耐えられない見た目であり人の心をくじく。うちの家族はここで脱落。わたしはその翌日にもう10分ほど見たところで、見るのをやめようかと悩む。
だが数日の期間を経て、どうにか「これをネタにするために見てやる」と気持ちを鼓舞することができたので、最後まで見てみた。
気分を落ちつかせるためのこの期間が功を奏したのか、「キモい」、「グロい」のほかに、風刺や人間のアホくささまでを雰囲気として感じとることができた。見終えるまでにここまでの忍耐を強いられたのは初めてかもしれない。
木の子供は大食らいで、ミルクや離乳食など大量にあっても足らない。ほかのものに手を出しそうな気配。そしてほどなく、小動物や人間が餌食に。
こういう童話がチェコにほんとうにあるのかどうかは知らないが、作品中では昔からある童話として描かれており、作品中で事態をさらに悪化させる隣家の少女はそのオチを知っている。少女は木の根っこが童話のオチのように殺されないように準備するが…。
木の根っこが怪物として描かれるシーンの大半はCGである。だがそのCGも、顔のドアップはけっこうキモい。見るならば、覚悟してご覧いただきたい。