薬をもらおうと、たまに出かけている皮膚科へ。夕方遅い時間帯だったが、待合室にはそこそこ患者がいた。周囲を見まわすと、音は絞っているのでほとんど聞こえない壁掛けテレビに、フジテレビの社長が週刊紙報道を否定したという内容の見出しが見えた。
報道されている件とは、例の「フジテレビは自社の女性アナウンサーをタレント等への接待に使っている」というものだ。
事前に、会見の場所は自社の会議室で「自社が招待したメディアのみ入室を許されて質問ができる」と言われていたので、どうせたいしたことは言わないのだろうと思っていたが、その発言は想像の斜め上をいくものだった。あわててスマホでニュースを見ると「自社にそういう風潮(女性アナウンサーを接待に使う)がないと信じたい」といった内容の発言もあったとか。
会見を開くと予告したからには、たとえ呼ぶ相手を限定しようと生放送されないように釘を刺そうと、もう少し練った内容のことは言えなかったのだろうか。いや、気合いのはいったことを言うつもりがなかったというのが正直なところだろうが、それで現在の状況が改善されることなどまったくないし、立場はどんどんと悪くなるというのは、素人のわたしですら簡単に予測できることだ。それで大丈夫だと、なぜ思えるのか。
そもそも今回の件のきっかけとなった中居氏の、自社ウェブサイトでの掲載文章があまりにまずかったことや、さらにさかのぼるならばジャニーズの一連の問題で、初期のころに当時の代表だった藤島ジュリー景子氏が、会見ではなく一方的な動画公開で挨拶したことも事態を紛糾させた大きな要因。フジテレビの社長は、一般常識以前に、それら最近の話からですら、何も学ばないのか。
誰からも意見をもらえないようなトップ、周囲に相談もしないで決めてしまうトップがいる企業は、従業員がお気の毒である。
フジテレビは、数十年前から「たいへん下品」な番組を作る局だった。だが田丸美寿々氏のようにかっこよい女性キャスターが登場したのはフジが最初であり、その後に各局で知的な女性アナがニュースに出るようになった。そのため、フジのニュース番組を見ることはあった。
社長も何もかも変えてやり直すのでないかぎり、このテレビ局はもうだめであろう、ほぼ間違いなく。