たびたび感じていることだが、高齢者の何割かは、おそらく新しいものが苦手である。うちの田舎の母などはキャッシュカードすら持っていない。機械に触りたくないらしい。4〜5年前にひとりで電車に乗る機会があったのだが、「駅員さんに切符の買い方を教えもらった」と、語っていた。
こういった層は、必要に迫られなければ新しいことを覚えない。たとえばワンマンバスの自動支払機だ。いまはワンマンは当たり前だが昭和の50年代くらいまで、おそらく田舎の各バス会社には運転手のほかに車掌が乗っていて、乗客は小銭で車掌に支払いをして切符を受けとり、車掌は客の降車時にそれを回収していた。だが世の中はワンマンバスが当たり前になり、年寄りもそういった「生活に直結する知恵」に関しては、否応なしに身につけねばならなくなった。
必要があれば、の話だ。ないのに無理やり覚えさせようとするのは、お互いにストレスになりかねない。
さて、JR東日本がついに、こんな恐ろしいものを設置したらしい。
2015.08.10 日経新聞 → 「現金お断り」の格安自販機 JR東が不振打開へ一石
こうなったら、現金そのものを持たせない、嫌でもICカードにしてもらうという、究極の策だ。ここまでやっていいのだろうかと、正直なところ考えてしまうのだが、いかがだろう。たとえばICカードを持たない人が、気分が悪く、すぐにでも冷たい緑茶のペットボトルが飲みたいのに…「あっ、お金を入れるところがない、どうしたらいいんだ」と、有人の売り場を探すあいだに、さらに気分が悪くなるなんてことは、ないのだろうか。JR東日本には、せめて設置台数は増やしすぎないでいただけたらと願うばかりだ。
携帯電話はだいぶ普及して、高齢者でも多くの人が使い方を理解してきているようだが、通話する際の声量が大き過ぎたり、あるいはすぐ切るからいいやとばかりに電車内などで通話してしまう比率が、若い人よりも高そうに感じられる。まぁ、高齢者ということで、混雑していない交通機関なら、多少は大目に見てもらえる場合もあるかもしれない。
そういえば、もう10年以上もカラオケボックスに出かけていないのだが、最近では歌の番号が書かれた本は室内においていなくて、検索も入力もタブレットだそうである。たまにはカラオケにも出かけてみたい気がするが、それらの操作にまごついたら、けっこう笑えるな。年寄りの心配をしている場合ではない。そろそろ自分の心配をしなければ(^^)。
自分の心配といえば、できればスマホやタブレット以外に、従来のパソコンも世の中に残ってもらいたいと思っている。キーボードとディスプレイにある程度の大きさがないと、だんだんとつらくなってくるはずだ。現在ですらできればパソコンがよいのだから、高齢になるまで、パソコンには残っていてもらいたい。