NCIS NOLAという番組を見ていて、ガンボ(米にこってりしたスープをかけて食べるらしい)がうまそうだなと思った。そういえば以前に購入して読んだアメリカ南部の料理本に、そういったものがあったかもしれない。あるいはすでに似たようなものを食べたことがあるかもしれない。
アメリカの本土には旅行したことがない。ニューオリンズは食べ物が美味しそうだと、同番組を見ていていつも思う。いつか、もう1回くらいは海外旅行するチャンスがあるとよいと思うが、現在は東京から一歩も出ない日々。自分の田舎に親の見舞いで数時間だけ移動したのは2年ほど前だったか。普段はほとんど「東京に引きこもり」の生活だ。新幹線は4年半も乗っていない。
20年以上前に、パリ郊外のホテル近くにあった地元の料理屋で、薄いビーフカツレツ(ミラノ風)を食べたが、前菜に頼んだものがちぎりレタスにスライスされたモッツァレラチーズがのって塩こしょうが振られたような、とてもシンプルで美味しいものだった。わたしたちはモッツァレラをそのとき初めて食べ、かなり感動した。名前を知らなかったのはもちろん、日本でどういう店で買えばいいのかわからず(もちろんその後どんどんと日本での知名度も上がり、大きめならば普通のスーパーでもおいている)、そしてネット情報も現在ほど充実していなかったので、しばらくは「あのときの美味しかったチーズ」という名前で、回想していたものだった。
わたしはこの約10年ほど、朝はパンと飲み物、昼は麺類(もしくはジャンクフードかインスタント食品)、夜はライスを食べることが多い。あと30年くらいは食事をとるだろうか。食事パターンは変わっているだろうが、その30年で、どんなものを食べるのだろう。
人にもよるだろうし、さまざまな生活習慣や事情があるだろうが、1日にだいたい2〜3回の食事をとるとして、おおまかに1年間に1000回の食事をとると考えれば——50年で5万回だ。人が80年生きるとしたら、だいたい8万回くらいは食事をするだろう。
贅沢は言わないが、せめて、ときどきは「新しい発見」がある食卓であればうれしいと思う。
これから出会える味と、経験に、いまのうちから感謝しておきたい。