サイパンからロスに移送された三浦(元・アメリカでの)容疑者、まさか自殺ということになるとは…。ご冥福を心からお祈りする。
日本の司法当局がアメリカの今回の裁判に資料提供などの協力をしたのかどうかは失念したが、三浦さん側が強く日本政府に捜査協力をしないよう訴えかけていたのは覚えている。よく考えてみれば、自分たちの国で無罪になった人間がアメリカでまた逮捕されたわけで、協力するのは(するとすれば)たいへんおかしな話だ。
アメリカの検察がどんな証拠を持っていたのかは不明だが、すでに老年に近づいていた三浦氏が、さらにアメリカ国内で長期にわたり拘束、そして裁判の結果如何によっては長期の服役になりかねない状況は、年齢的・精神的にあまりに酷であったといえる。
たしかに、日本国内で(殺人事件の本体としては)無罪といっても、それ以前の殴打事件で服役したほか、拘置期間が長かったように思う。Wikipediaの記述によれば合計で16年のあいだ社会から隔絶されていた。それだけの期間の拘束と社会的な制裁にくわえて、アメリカでの新たな長期裁判とそれにともなう拘束は、おそらく他人が想像できるような苦しみではなかったはずだ。
無罪なら戦えばいいと、理屈をいうのは簡単だが、その拘束そのものが正当であるかについても、疑問の余地がある事件。
なぜ、自殺をとめられなかったのか。なぜ、(殺人罪ではなく)共謀罪での立件は法的に問題なしとの見解が(アメリカの司法当局の判断として)なされたのか…。この先ずっと、深い問題を投げかける事件となった。